薬剤によるリンパ球刺激試験
薬剤によるリンパ球刺激試験
略称 | DLST |
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別名 | 薬剤によるリンパ球芽球化試験,薬剤によるリンパ球幼若化試験 |
臨床的意義
- 薬剤アレルギー患者の血液中に,薬剤を異物と認識する感作リンパ球(免疫記憶細胞)が存在すると,この薬剤が再投与された際に感作リンパ球が刺激を受けて幼若化,分裂,分化を起こす.これに伴ってサイトカインなどが産生され,種々の免疫反応を惹起し,生体に障害を及ぼすようになる.薬剤によるリンパ球刺激試験は,薬剤アレルギー症状のうち,特にⅣ型アレルギーによる肝障害や造血障害に,ある特定の薬剤が関与しているか否かを知るために有用な検査である.
- 薬剤によるリンパ球刺激試験により,薬剤アレルギーの起因薬剤を確認することができる.薬剤性肝障害の大部分は遅延型過敏性反応によるものといわれているが,薬剤によるリンパ球刺激試験は,原理的には細胞性免疫だけでなく,体液性免疫の一部も反映し,アナフィラキシー型アレルギーの起因アレルゲン,自己免疫疾患における反応臓器抗原などの検索にも応用可能である.
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基準値・異常値
- 基準範囲
-
陰性:SI値 1.8以下
変動要因 - 高値
- 変動要因
- 薬剤アレルギー症状がみられても,発症直後は陰性になりやすく,陽性になるのは1~2ヵ月後である.薬剤によるリンパ球刺激試験は,ステロイド薬,抗腫瘍薬,免疫抑制剤などが併用されているような場合,陰性になりやすく,非ステロイド性抗炎症薬の併用は逆に陽性になる場合が多い.
- 添加薬剤の細胞毒性,pH,薬理作用(免疫抑制剤,核酸代謝阻害薬など)により幼若化が抑制されることがある.
( 小林 賢 )
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