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マクロファージコロニー刺激因子

マクロファージコロニー刺激因子

略称 M-CSF

臨床的意義

  • 原因が特定できない白血球増多の病態解析や,血球貪食症候群などの高サイトカイン血症に起因する炎症性疾患における病態解析において,M-CSFを測定する.しかし疾患特異性はないため,臨床検査としての意義は限られる.
  • M-CSFの増加は,①感染症で白血球を増産するため,②再生不良性貧血で代償的に白血球を増加させるため,③特発性血小板減少性紫斑病で脾臓のマクロファージが活性化するために起きる.
  • 妊婦では胎盤でM-CSFが産生されることにより,白血球増加が生じる.M-CSF産生が不良な妊婦は流産しやすいとされる.
  • 大理石骨病はM-CSFもしくはM-CSF受容体の異常に起因する疾患である.大理石骨病の原因がM-CSFの欠如か受容体の異常かを鑑別するのに,M-CSFの測定が有用である.
  • M-CSFを産生する卵巣癌の患者では,M-CSF値が腫瘍マーカーとして,治療効果の判定や再発の発見に利用できる.
  • M-CSFは抗癌薬投与後や骨髄移植後における白血球減少の回復促進の目的で,医薬品として用いられている.
  • 研究として,造血とサイトカインの関連をさらに調べるのであれば,SCF(stem cell factor),IL-3,GM-CSF,G-CSFなどを測定する.炎症とサイトカインの関連を調べるのであれば,IFN-γ,TNF,IL-1,IL-6などを測定する.
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基準値・異常値

基準範囲
1.1~1.7ng/ml(参照値)
変動要因
高値

再生不良性貧血、  細菌感染症、  大理石骨病、  特発性血小板減少性紫斑病、  妊娠、  卵巣癌

妊娠,細菌感染症,再生不良性貧血特発性血小板減少性紫斑病の一部の症例,卵巣癌の一部の症例,大理石骨病など

低値

大理石骨病、  反復流産

反復流産の一部の症例,大理石骨病の一部の症例

変動要因
予想外の高値の場合は,患者血清中のリウマトイド因子によるELISAの偽高値の可能性を検討する.
( 東田修二 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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