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血球貪食症候群

略称 HLH
別名 hemophagocytic lymphohistiocytosis

疾患スピード検索で表示している情報は、以下の書籍に基づきます。

臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. 原因として家族性 HLH(FHL)などの先天性免疫不全,感染症,膠原病,悪性リンパ腫などがあることに留意する.
  2. 一次性,二次性を含む HLH のわが国における発症頻度は 80 万に 1 人程度であり,15 歳以下の小児が 56%と半数以上を占める.疾患別にみると,EB ウイルス関連 HLH(EBV-HLH)が一番多く,他の感染症関連 HLH と合わせて約半分を占める.次いで悪性リンパ腫関連 HLH が 19%,自己免疫関連 HLH が 9.3%と続く.一次性である家族性 HLH(FHL)は 4%程度である.
  3. HLH の多彩な病態は高サイトカイン血症が持続することにより起きると理解されており,持続する発熱,肝脾腫,リンパ節腫大,皮疹などを呈する.
  4. 検査所見では,血球減少,肝機能障害,凝固異常,TG 高値や LDH 高値,血清フェリチンや可溶性 IL-2 受容体の増加を呈する.形態学的には骨髄やリンパ節,髄液などに血球貪食像を認める.
  5. 治療の基本理念はリンパ球とマクロファージの異常活性化を抑制することであり,軽症例ではステロイドホルモン,シクロスポリン,大量γ-グロブリン療法などの薬物療法に加え,原疾患に対する治療を行う.
  6. 急激に進行する重症例が存在し,短期間でサイトカインによる細胞・組織障害によって多臓器不全に陥る.早期診断および適正な治療介入が求められる.
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検査

①末梢血液
 通常汎血球減少を呈する.新生児期のエンテロウイルス単純ヘルペスウイルスによるHLH では末梢血中にも血球貪食像を認める.
②骨髄
 病気の進行に伴い低形成骨髄へと移行し,骨髄スメアの引き終わりに多数の血球貪食細胞を確認できる.また骨髄異形成症候群様の所見もよくみかける.
③生化学
 肝機能障害,凝固異常,高LDH 血症,高TG 血症,血清フェリチンや可溶性IL-2 受容体の著増,血清・尿中β2ミクログロブリンの増加を呈する.サイトカインではIL-1,IL-2,IL-6,TNFα,IFN-α,IFN-γ,macrophage colony-stimulating factor(M-CSF)などの上昇がみられる.
④髄液・頭部MRI
 神経症状を呈する症例では髄液中にリンパ球,マクロファージの増加と血球貪食像を認める.頭部MRI所見では大脳白質にT2強調画像あるいはFLAIR画像で高信号を巣状に呈する特徴的な所見を認める.
⑤EB ウイルス関連
 わが国で発症の多いEBV-HLH の診断には血中EBV-DNA 定量によるEBV コピー数の増加が必要である.EBV-DNA定量モニタリングは治療効果判定にも有用である.EBV 抗体価(VCA-IgM,VCA-IgG,EADR-IgG,EBNA)の上昇も認める.
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