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血清胆汁酸分画

血清胆汁酸分画

別名 胆汁酸分画

臨床的意義

  • 肝内および肝外胆汁うっ滞(閉塞性黄疸)時には,腸肝循環が遮断され,肝細胞,毛細胆管から血中へ胆汁酸の逆流が起こる.胆汁うっ滞時の肝におけるCA/CDCA生成比の変化を反映して血中CA/CDCA比は上昇し,多くは1以上となる.また,腸肝循環の遮断を反映して,二次胆汁酸の相対的な比率が低下する.
  • 腸内細菌過剰増殖時には,一次胆汁酸の脱水酸化が促進され,DCAなど二次胆汁酸分画の増加を認める.
  • 脳腱黄色腫症では胆汁酸合成経路上の酵素(CYP27A1)欠損によって,CDCA合成が著しく障害され,末梢血中でもCDCA濃度が著減している.
  • 通常の肝胆道疾患のスクリーニングには,最も簡便な酵素法による血清総胆汁酸濃度の測定で十分と考えられる.しかし,より正確な肝胆道疾患の病態把握を要する場合,腸内細菌過剰増殖症の鑑別が必要な場合,脳腱黄色腫症を疑った場合には,胆汁酸分画の測定まで行うことにより有意義な情報が得られる.
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基準値・異常値

基準範囲
  • コール酸(CA):0.21~1.13μg/ml
  • ケノデオキシコール酸(CDCA):0.26~1.59μg/ml
  • デオキシコール酸(DCA):0.08~0.72μg/ml
  • リトコール酸(LCA):0.17μg/ml以下
  • ウルソデオキシコール酸(UDCA):0.24μg/ml以下
  • CA/CDCA比:0.61±0.30(mean±SD)
変動要因
異常値を呈する場合

肝実質細胞傷害、  腸内細菌過剰増殖、  脳腱黄色腫症

  • 肝実質細胞傷害ではCA/CDCA比が1未満,肝内および肝外胆汁うっ滞時,1以上となることが多い.
  • 腸内細菌過剰増殖ではDCA分画の増加を認める.
  • 先天性代謝異常の脳腱黄色腫症ではCDCA分画の著減を認める.

次に必要な検査
  • 肝胆道疾患の病態把握は,ASTALT,T-Bil,LD,γ-GT,ALP,総胆汁酸などの血液生化学検査データと,超音波,CTなどの画像診断データを組み合わせて,総合的に判断する.
  • 腸内細菌過剰増殖の証明には,便培養,腸液培養(特に嫌気性菌)を行う.
  • 脳腱黄色腫症の診断には,胆汁中胆汁酸および胆汁アルコールの分析を行う.
変動要因
  • 食後は胆のう収縮により腸肝循環量が一過性に増加し,基準値の数倍程度まで上昇しうる.
  • UDCA,CDCAなどの胆汁酸製剤を内服していると,これらの値が高く出る.
( 本多 彰,松さき靖司 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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