T細胞受容体
T細胞受容体
略称 | TCR |
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別名 | TCRαβ鎖,TCRγδ鎖 |
臨床的意義
- 抗体によるTCR保持の証明は,T細胞の最も信頼できるマーカーである(gold marker).しかし,臨床検査で抗TCR抗体が用いられることは少なく,T細胞マーカーとしてはCD3の方が一般的である.TCRレパトワの解析など研究目的で使用されることが多い.T細胞リンパ腫は多くがαβ型であるが,肝脾T細胞リンパ腫などγδ型T細胞リンパ腫として知られている病型がある.
- TCRβ鎖の可変部V領域に対する種々の特異抗体を用いて,T細胞腫瘍のモノクローナリティを証明できることがある.
- 本検査は下記の場合に適応となる.
- T細胞の証明やT細胞のクローン性の指標として.
- 自己免疫疾患の病態,病因の把握.
- 悪性リンパ腫の病型診断.
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基準値・異常値
- 基準範囲
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- αβTCR:末梢血T細胞の90%以上
- γδTCR:末梢血T細胞の10%以下
- 増加
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T細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)の一部、 T細胞性成熟型リンパ性白血病、 一部の感染症、 成熟型T細胞性悪性リンパ腫(白血化例)
T細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)の一部,T細胞性成熟型リンパ性白血病,成熟型T細胞性悪性リンパ腫(白血化例),一部の感染症
- 減少
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非T細胞性白血病、 免疫不全症(T細胞欠損症など)
免疫不全症(T細胞欠損症など),非T細胞性白血病
- 次に必要な検査
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TCR遺伝子の再構成を確認する.
- 変動要因
- 形態学的,組織化学的検査などと併せて,総合的な判断が必要である.
( 佐藤尚武 )
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