MPO抗原
MPO抗原
略称 | MPO |
---|---|
別名 | ミエロペルオキシダーゼ抗原,ペルオキシダーゼ(PO) |
臨床的意義
- MPOは顆粒球(-単球)系細胞に対する特異性が高く,現時点では骨髄性白血病のgold markerである.MPO(抗原)の臨床的な意義は「ペルオキシダーゼ染色」(【→】p.44)とほぼ同じであるが,前記した理由により感度はわずかに高いと考えられる.実際にペルオキシダーゼ染色陰性のFAB分類M0型で,MPO(抗原)は陽性を示した例が報告されている.またペルオキシダーゼ染色と異なり,好酸球はMPO(抗原)陰性である.
- 本検査は急性白血病の診断と病型分類のため,特にAMLと急性リンパ芽球性白血病(ALL)の鑑別に適応となる.慢性骨髄性白血病の急性転化時,骨髄芽球性転化(MBC)かリンパ芽球性転化(LBC)かを鑑別するためである.
詳細を見る
基準値・異常値
- 基準範囲
-
10~20%(骨髄単核細胞)
変動要因 - 陽性
-
急性骨髄性白血病(AML)、 慢性骨髄性白血病の骨髄性急性転化(CML-MBC)
急性骨髄性白血病(AML),慢性骨髄性白血病の骨髄性急性転化(CML-MBC)
- 陰性
-
先天性ミエロペルオキシダーゼ欠損症
先天性ミエロペルオキシダーゼ欠損症
- 次に必要な検査
-
- FAB分類M0,M5,M7型では多くの場合陰性なので,他のマーカー(抗体)や特殊染色所見を含めて,総合的に判断する必要がある.電子顕微鏡的ミエロペルオキシダーゼ反応が役立つこともある.
- 染色体分析や遺伝子解析を行う.
- 変動要因
- 非特異反応の有無をチェックする.
- biphenotypic acute leukemia(BAL)など,抗原の異常発現を認める病型や症例が存在する.また複数のクローン由来の白血病細胞が存在する例もある.この場合の鑑別には,他のマーカーとの重染色が有用である.
( 佐藤尚武 )
「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。