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フィブリノペプタイドBβ15-42

フィブリノペプタイドBβ15-42

略称 FPBβ15-42

臨床的意義

  • 通常では血中にFPBβ15-42はほとんど検出されないので,血中FPBβ15-42の上昇は,検体採取時にフィブリンにプラスミンが作用していることを意味する.FPBβ15-42は線溶亢進,特に二次線溶亢進の分子マーカーと考えられている.
  • しかしFPA同様に,検体採取や処理方法によっても結果が大きく左右されるほど鋭敏なため,取り扱いが難しい検査である.FPBβ15-42値のみで線溶亢進を判断できるものではなく,他の線溶系分子マーカーなどを同時測定して検査結果を解釈する必要がある.線溶系亢進のマーカーとしては,プラスミンの生成の指標にはプラスミン・α2-プラスミンインヒビター複合体(PPIC)の測定,プラスミンによる線溶の指標にはフィブリノゲン・フィブリン分解産物(FDP)が一般的な検査であり,特に二次線溶亢進のマーカーとしてはFDP-Dダイマーの測定が広く利用されている.
  • FPBβ15-42測定は,平成18年度診療報酬改定後も“フィブリノペプタイド精密測定”に含まれる保険収載項目であるが,平成19年10月末現在,FPBβ15-42測定キットは入手できず,大手の民間検査機関でも受託検査を実施していない.
  • これらの理由から,現時点では,FPBβ15-42を線溶亢進の分子マーカーとして臨床現場で診断や経過観察の指標にすることは困難である.
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基準値・異常値

基準範囲
3.8ng/ml以下
変動要因
高値

動静脈血栓症、  播種性血管内凝固症候群(DIC)

線溶亢進状態:播種性血管内凝固症候群(DIC),動静脈血栓症(深部静脈血栓症,急性心筋梗塞)など.

次に必要な検査
線溶亢進を評価するためにはFDPおよびFDP-Dダイマー,α2-プラスミンインヒビター,プラスミン・α2-プラスミンインヒビター複合体(PPIC)などを定量測定する.DICを疑う場合には,他の必要な検査項目を測定することが重要である.
変動要因
  • 非常に鋭敏な検査であるので,検体の採取や処理段階でトロンビンが人為的に産生されないように留意する.
  • 検体採取には専用試験管を準備し,全く駆血をしないか,駆血しても静脈穿刺できる最低限の緊縛にとどめ,強引な吸引採血を避けながら,しかし速やかに採取を終了させることが必要である.
( 香川和彦 )
臨床検査項目辞典

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「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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