血清ペプシノゲンⅠ,Ⅱ
血清ペプシノゲンⅠ,Ⅱ
略称 | PGⅠ,PGⅡ |
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別名 | ペプシノゲンⅠ,Ⅱ |
臨床的意義
- 血清PG値は胃粘膜の萎縮を反映して低下するため,PGⅠ値,PGⅠ/Ⅱ比を指標として,胃癌ハイリスクである萎縮性胃炎を同定できる.
- 胃癌症例群と健常対象者群を比較した結果から,PGⅠ≦70ng/mlかつPGⅠ/Ⅱ≦3を胃癌ハイリスクスクリーニングの判定基準値としている.
- 厚生労働省三木班(www.pepsinogen.org)によると,陽性反応的中率(陽性者のうち胃癌が発見された率)は1.5%.長期観察でPG陽性者からの胃癌発生率は4.06%,陰性者からの発生率は0.59%で,PG陽性者の陰性者に対する相対危険度は6.9倍であった.
- PGⅠ≦70ng/mlかつPGⅠ/Ⅱ≦3の受診者は胃癌のハイリスク者であり,定期的に上部消化管内視鏡検査を行うのが原則である.
- PG値が基準値以上で,ヘリコバクターピロリ感染のない受診者は,胃癌リスクが低いため,胃癌検診の受診間隔をあける,また検診対象者から除外することも検討されている.
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基準値・異常値
- 基準範囲
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PGⅠ:15~100ng/ml,PGⅡ:3~40ng/mlが正常範囲
胃癌ハイリスクスクリーニングの判定基準値は通常PGⅠ≦70ng/mlかつPGⅠ/Ⅱ≦3
変動要因 - 異常値を呈する場合
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PPI服用、 Zollinger-Ellison症候群、 悪性貧血、 胃・十二指腸並存潰瘍、 胃癌、 胃切除後、 胃腺腫、 萎縮性胃炎、 急性胃粘膜病変、 十二指腸潰瘍、 出血性胃びらん・潰瘍、 腎不全
- PGⅠ高値(100ng/ml以上):十二指腸潰瘍,胃・十二指腸並存潰瘍,Zollinger-Ellison症候群,腎不全,出血性胃びらん・潰瘍,急性胃粘膜病変,プロトンポンプインヒビター(PPI)服用
- PGⅡ高値(40ng/ml以上):十二指腸潰瘍,胃切除後,胃・十二指腸並存潰瘍,Zollinger-Ellison症候群,腎不全,出血性胃びらん・潰瘍,急性胃粘膜病変,PPI服用
- 異常値を呈する場合
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- PGⅠ低値(15ng/ml以下):悪性貧血,萎縮性胃炎,胃腺腫,胃癌,胃切除後
- PGⅡ低値(3ng/ml以下):萎縮性胃炎,胃切除後
- 次に必要な検査
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上部消化管内視鏡検査
- 変動要因
- 胃切除歴,腎不全・腎機能障害(Cr≧3mg/dl),PPIの服薬歴の確認を行う.
- PGⅡが異常高値の場合,PGⅡ産生腫瘍の可能性があるため,上部消化管内視鏡検査を行う.
( 笹島雅彦,三木一正 )
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