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シアン化物

シアン化物

別名 青酸化合物

臨床的意義

  • シアン中毒では,特異的な解毒療法(亜硝酸・チオ硫酸療法)が確立されている.したがって,発症状況(シアン化合物を取り扱うか,入手可能か)および臨床症状(原因不明の突然の意識障害)からシアン中毒が疑われた場合には,直ちに予試験を行い,血液,吐物や胃内容物などからシアンを迅速かつ確実に検出し,シアン中毒と診断したうえで解毒治療を開始することが重要である.
  • シアン中毒では,急激に増悪する呼吸器症状(呼吸困難,呼吸抑制,肺水腫など),循環器症状(血圧低下,不整脈,循環不全など)および中枢神経症状(興奮,痙攣意識障害など)を呈する.後遺症として,Parkinson症候群がみられることもある.
  • 高濃度のシアン化水素を吸入すると,瞬時に意識消失,痙攣,呼吸停止をきたし,死亡する.シアン塩類の経口摂取では,食道や胃粘膜障害のほか,胃液中の酸と反応して発生したシアン化水素が胃粘膜より吸収され,数分以内に症状が出現する.シアン化合物は,皮膚からも吸収される.
  • シアン中毒では,血中乳酸値の上昇,アニオンギャップの開大した著明な代謝性アシドーシス,混合静脈血酸素飽和濃度の上昇などが認められる.呼気や嘔吐物に焦げたアーモンド臭がすることもある.
  • 亜硝酸・チオ硫酸療法では,まず,酸化剤として亜硝酸アミルや亜硝酸ナトリウムを投与することにより,人為的にヘモグロビンのFe2+をFe3+(メトヘモグロビン)に変え,シアンメトヘモグロビンを形成させることにより,シアンとシトクロムオキシダーゼのFe3+との結合を解離させる.ついでロダネーゼの基質としてチオ硫酸ナトリウム(デトキソール®)を投与し,メトヘモグロビンと結合したシアンをチオシアン酸に変化させて,尿中へ排泄する.
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基準値・異常値

基準範囲
検出せず
高値

シアン中毒

  • シアン中毒,シアン化合物取り扱い作業
【血中0.1μg/ml以上】
  • シアン化合物への曝露やその摂取を調べる.
【血中0.5μg/ml以上】
  • シアンによる中毒症状が出現する.
対応⇒シアン中毒が疑われた時点で,解毒薬である亜硝酸剤(亜硝酸アミル,亜硝酸ナトリウム)とチオ硫酸ナトリウムの投与が行われる.
【血中3μg/ml以上】
  • 呼吸停止により,死亡する.

( 松岡雅人 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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