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11-デヒドロトロンボキサンB2

11-デヒドロトロンボキサンB2

略称 11-DTXB2

臨床的意義

  • 通常の状態では,尿中TXB2の約50%が腎由来であるのに対して,尿中dinor-TXB2や11-dehydro-TXB2は,腎臓よりはより血小板やその他全身に由来するものであることが,アスピリンを使った実験で確かめられている.アスピリン1g/dayを投与すると,尿中TXB2やdinor-TXB2排泄量は前値の24%,38%に低下するが,11-dehydro-TXB2は前値の80%程度に低下するのみである(片山茂裕ら).この化合物は,TXB2と異なり,血液採取時の血小板凝集による生体外生産がないため値の変動がなく,最も信頼できる重要な指標である.
  • Fitzgeraldらにより,動脈硬化症や肺塞栓における血中のこの化合物の著しい上昇が報告されている.これら病態のほか,糖尿病,高脂血症や糸球体腎炎などでも高値が報告されている.また,魚油などの多価不飽和脂肪酸を多く含む食事の摂取によっても高値となる.
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基準値・異常値

基準範囲
11pg/ml以下
変動要因
高値

魚油や多価不飽和脂肪酸の大量摂取時、  糸球体腎炎、  糖尿病や高脂血症、  動脈硬化症や肺塞栓

動脈硬化症や肺塞栓,糖尿病や高脂血症,魚油や多価不飽和脂肪酸の大量摂取時,糸球体腎炎

低値

アスピリンやインドメタシンなどの服用時

(測定感度3.0pg/ml未満)
アスピリンやインドメタシンなどの服用時

次に必要な検査
  • 血小板凝集能の亢進がないかどうかを確認する必要がある.また,全身的な動脈硬化症の程度を血管エコーなどで検索する.
  • 腎機能のチェックをする.
変動要因
異常低値の場合には,アスピリンやインドメタシンなどのプロスタグランジンの合成を阻害する薬剤を服用していないかどうか,チェックする.
( 片山茂裕 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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