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血小板由来成長因子

血小板由来成長因子

略称 PDGF
別名 血小板由来増殖因子

臨床的意義

  • 骨髄増殖性疾患においては,骨髄線維症,本態性血小板血症では血漿PDGFが増加しており,真性多血症では血漿では増加しないが,尿中で増加している.その背景として骨髄巨核球あるいは血小板からの放出が推定されている.なお,慢性骨髄性白血病では増加しない.
  • 動脈硬化においては,プロフィールで述べたように,PDGFが進展に関与していると考えられているが,未治療の軽症高血圧で血漿PDGFが増加していると報告されている.また,フィブラート系薬物であるシプロフィブラート服用によって,血漿PDGFが増加する.
  • 虚血性疾患においては,急性心筋梗塞の急性期で血漿PDGFが減少しており,慢性期では急性期に比べて増加していると報告されている.また,血小板凝集抑制薬のジピリダモールによって血清PDGFが減少し,これは血液凝固の際,血小板からのPDGF放出を抑制することによるとされている.
  • 「異常値を呈する場合」の項で示した種々の悪性腫瘍で血漿PDGF値が高値となることが報告されており,特に乳癌では進行度・進展速度との関連があるとされている.
  • 強皮症では血漿PDGF濃度が増加しており,強皮症における全身での線維増生への関与が考えられている.
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基準値・異常値

基準範囲
〈乏血小板血漿〉0.9~7.4ng/ml
変動要因
高値

フィブラート系薬物(シプロフィブラート)服用、  強皮症、  骨髄線維症、  頭頸部癌、  動脈硬化性疾患(高血圧)、  軟部肉腫、  乳癌、  本態性血小板血症

骨髄増殖性疾患(骨髄線維症,本態性血小板血症),動脈硬化性疾患(高血圧),フィブラート系薬物(シプロフィブラート)服用,悪性腫瘍(乳癌,軟部肉腫,頭頸部癌など),強皮症

低値

ジピリダモール服用、  心筋梗塞急性期

ジピリダモール服用(血清),心筋梗塞急性期

次に必要な検査
動脈硬化,悪性腫瘍や膠原病など背景にある疾患に関連する検査を実施する.
変動要因
  • 採血・保存条件について再検討する.
  • 血小板からの放出の確認としてはβ-トロンボグロブリンを同時に測定してみる.
( 菊池春人 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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