高分子アディポネクチン
高分子アディポネクチン
別名 | HMWアディポネクチン |
---|
臨床的意義
- Haraらの糖尿病あるいは冠動脈造影検査のために入院した298名での検討(Diabetes Care, 29:1357-1362, 2006)によると,総アディポネクチン濃度・HMWのアディポネクチン濃度・HMW比(HMWのアディポネクチン/総アディポネクチン)を比較すると,いずれもBMIと相関するが,ROC解析ではインスリン抵抗性の指標であるHOMA-IRとはHMW比が最も有意な相関関係を示した.メタボッリクシンドロームの診断についてもROC解析を行うと,HMW比のほうが総アディポネクチン濃度より優れていた.本検討でのHMW比は,男性で35.9±1.1%,女性で29.9±0.8%であった.ちなみに,Nakanoらの報告では,男性で62±18%,女性で76±15%であった.これら測定系による差異については,今後さらに検討する必要がある.
- HMWが低下あるいは欠損している遺伝子変異が見つかっている.90番目のグリシンがセリンに変異しており,この遺伝子変異保持者は全例が2型糖尿病を発症していた.
- このように,HMWのアディポネクチン濃度の測定は,糖尿病,高血圧,肥満などの生活習慣病や,それらの集積したメタボリックシンドロームのよりよいバイオマーカーになる可能性がある.
詳細を見る
基準値・異常値
- 基準範囲
-
- 男性平均1.54±0.50(SD)μg/ml,女性平均1.68±0.46μg/ml(Hara, K., et al.:Clin. Chim. Acta, 372:47-53, 2006の報告による)
- 男性平均6.2±3.6(SD)μg/ml,女性平均8.4±5.5μg/ml(Nakano, Y., et al.:J. Lipid Res., 47:1572-1582, 2006の報告による)
- 低値
-
アディポネクチン遺伝子の突然変異(Gly90Ser)、 メタボリックシンドローム、 冠動脈疾患、 糖尿病、 肥満
糖尿病,肥満,メタボリックシンドローム,冠動脈疾患,アディポネクチン遺伝子の突然変異(Gly90Ser)
( 片山茂裕 )
「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。