抗横紋筋抗体
抗横紋筋抗体
略称 | AMF |
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別名 | 横紋筋抗体,抗骨格筋抗体,automuscle antibody factor(AMF) |
臨床的意義
- 本検査は,重症筋無力症が疑われるとき,特に胸腺腫合併の有無を検索するときに行われる.
- 重症筋無力症(myasthenia gravis)は,臓器特異的自己免疫疾患の一つで,外眼筋,球筋,四肢筋などの易疲労感,筋力低下を主訴とする疾患である.その原因として,何らかの機序で抗アセチルコリン受容体抗体(anti-AChR antibody)が持続的に産生され,motor neuronからアセチルコリンを介した骨格筋への刺激伝達が障害される機序により病態が形成されることが明らかにされている.
- 抗横紋筋抗体の測定では,抗アセチルコリン受容体抗体以外にも骨格筋構成成分全体に対する抗体を検出することができる.しかし抗アセチルコリン受容体抗体よりも感度が低く,重症筋無力症においては30%程度の陽性率である.一方,胸腺腫(thymoma)を合併する重症筋無力症患者では90%以上の高い陽性率となることが報告されている.すなわち,この抗体が陽性であれば胸腺腫の合併を考慮して検索する必要がある.またこの自己抗体の抗体価は病勢を反映するとされている.重症筋無力症を合併しない胸腺腫の場合だと20%程度に陽性がみられる.
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基準値・異常値
- 基準範囲
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陰性(20倍未満)
変動要因 - 高値
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Addison病、 Sjögren症候群、 悪性貧血、 筋ジストロフィー、 重症筋無力症、 多発性筋炎、 膠原病
重症筋無力症,多発性筋炎,筋ジストロフィー,他の膠原病,悪性貧血,Addison病,Sjögren症候群
- 次に必要な検査
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抗アセチルコリン受容体抗体は,重症筋無力症の病態である筋脱力現象を直接的に発生させる抗体であり,阻害型抗体と非阻害型抗体に分類されるが,本症の診断,経過観察に必須の抗体である.重症筋無力症の所見として,筋電図での漸減現象(waning phenomenon)を確認する.胸腺腫の合併は胸部CT検査などで確認する.
- 変動要因
- 健常者においても検出されることがある.
( 今福裕司 )
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