抗リンパ球抗体
抗リンパ球抗体
別名 | リンパ球細胞毒抗体,LCT抗体,リンパ球抗体 |
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臨床的意義
- 頻回に輸血を行った患者では,抗リンパ球抗体により,発熱などの非溶血性輸血副作用や,血小板輸血不応状態(post transfusion refractoriness:PTR)を生じることがある.PTRの約90%はHLAクラスⅠ抗体によるものなので,このような場合には,HLA match血小板製剤を用いる.
- 臓器移植にあたってドナーとレシピエントとの間でリンパ球交差試験を行った際に,HLAクラスⅠに対する抗T-warm抗体が認められた場合は,移植後,超急性拒絶反応を生じ移植臓器が生着しない危険性が高い.
- SLE,関節リウマチおよびSjögren症候群などの膠原病,AIDS,慢性炎症性疾患では,リンパ球減少がみられ,抗T-cold自己抗体が陽性になることがある.また,母子間のリンパ球不適合によって生じた母親の抗HLA抗体が,習慣性流産の原因となることがある.
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基準値・異常値
- 基準範囲
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陰性
変動要因 - 陽性
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RA、 Sjögren症候群、 ウイルス感染症、 ワクチン接種例、 経産婦、 血小板輸血不応状態(PTR)、 自己免疫疾患、 輸血既往例
自己免疫疾患(SLE,RA,Sjögren症候群),血小板輸血不応状態(PTR),輸血既往例,経産婦,ワクチン接種例,ウイルス感染症
- 次に必要な検査
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発熱などの非溶血性輸血副作用やPTRがみられたときは,抗好中球抗体,抗血小板抗体など,他の抗体が関与している可能性を調べる.特にPTRでは,抗血小板特異抗体が主因となっている可能性もある.
- 変動要因
- LCTで検出される抗リンパ球抗体は,補体結合性細胞傷害性抗体であり,非補体結合性抗体では検出できない.また,妊婦では,血清中に非細胞傷害性の抗HLA抗体が存在することもあるので,注意が必要である.
( 村上純子 )
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