慢性骨髄性白血病
CML
chronic myelocytic leukeunia
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「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.
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Clinical Chart
- 慢性骨髄性白血病(CML)は多能性幹細胞の異常により起こる腫瘍性疾患で,t(9;22)(q34;q11)により形成される Philadelphia(Ph)染色体を特徴とする.
- 世界的に全白血病の約 15~20%を占めるとされる.
- CML は主に白血球や血小板の増加を認めるが,自覚症状の乏しい慢性期(chronic phase:CP)を診断後 3~5 年,移行期(accelerated phase:AP)を 3~9 カ月,急性白血病様病態へ進展する急性転化期(blast crisis:BC)を 3~6 カ月経て致命的となる.
- 臨床症状
①慢性期:ほぼ無症状.近年は定期健康診断を契機に診断される症例が増えている.
②移行期:肝脾腫による腹部症状,体重減少,高ヒスタミン血症による消化性潰瘍,など.
③急性転化期:移行期の症状に加え,急性白血病様の症状を呈しうる. - 検査所見
表1 の WHO 分類(2008)参照.そのほかに好中球アルカリホスファターゼ(NAP)が低値,骨髄は過形成,血球の成熟障害は認めない点があげられる.Ph 染色体あるいは BCR- ABL1 融合遺伝子が検出される. - 治療概略
①BCR-ABL チロシンキナーゼ阻害剤療法
②同種造血幹細胞移植(allogeneic hematopoietic stem cell transplantation:allo-HSCT)
③インターフェロン(INF)α
④その他の薬物療法 - 血液学的検査,fluorescence in situ hybridization(FISH),逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)などを用いて治療効果判定をしてゆく必要がある.
臨床検査所見
表1 の WHO 分類(2008)による CML の病期分類を参照してのこと.
①慢性期
末梢血で白血球・血小板の増加および好塩基球の割合が上昇する.軽度の貧血を呈する場合も多い.骨髄は全体に,特に骨髄球系が過形成で,各成熟段階の細胞を認める(白血病裂孔は認めない).慢性期ではNAP の低値を認める.
②移行期
表1に記載したごとくの所見を認める.
③急性転化期
急性白血病様の検査所見である.急性転化様式もさまざまで,骨髄系の急性転化では,芽球はミエロペルオキシダーゼ(MPO)陽性である.多くの症例では骨髄系抗原とともにリンパ系抗原を発現する.リンパ系の急性転化は precursor B 細胞起源とされ,まれに T細胞起源の場合も認める.約 25%は mixed lineageの急性転化とされる.
①慢性期
末梢血で白血球・血小板の増加および好塩基球の割合が上昇する.軽度の貧血を呈する場合も多い.骨髄は全体に,特に骨髄球系が過形成で,各成熟段階の細胞を認める(白血病裂孔は認めない).慢性期ではNAP の低値を認める.
②移行期
表1に記載したごとくの所見を認める.
③急性転化期
急性白血病様の検査所見である.急性転化様式もさまざまで,骨髄系の急性転化では,芽球はミエロペルオキシダーゼ(MPO)陽性である.多くの症例では骨髄系抗原とともにリンパ系抗原を発現する.リンパ系の急性転化は precursor B 細胞起源とされ,まれに T細胞起源の場合も認める.約 25%は mixed lineageの急性転化とされる.
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表 1 WHO 分類(2008)による CML の病期分類
慢性期(chronic phase)
以下の移行期,急性芽球転化期を満たさないもの移行期(accelerated phase)
以下のいずれかひとつに該当するもの
・末梢血あるいは骨髄における芽球割合
・末梢血における好塩基球割合
・血小板数
・白血球数および脾腫
・染色体異常
10~19%
≧20%
治療に無関係の血小板減少(<10,000/μL)
治療が奏効しない血小板増加(>1,000,000/μL)
治療が奏効しない持続する白血球増加(>10,000/μL)
±持続あるいは増強する脾腫
付加的な染色体異常の発現急性転化期(blastic crisis)
下記のいずれかひとつに該当するもの
・末梢血あるいは骨髄における芽球割合
・髄外浸潤
≧20%
髄外病変の出現
骨髄生検標本で芽球の大きな集積像を認める