クレアチニンクリアランス
略称 | Ccr |
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別名 | 糸球体濾過量(GFR) |
臨床的意義
- 腎糸球体や尿細管の障害により,同部からのCr排出が低下するために,Ccrが低下する.血清Cr値の増加があり,腎機能低下を疑ったときや,前期・早期糖尿病腎症で糸球体過剰濾過を疑ったときにCcrを測定する.
- Ccrは,軽度の腎機能低下と糖尿病腎症早期の糸球体過剰濾過を簡便に検出することができ,腎障害早期からの積極的な治療を可能にする.
- また,Ccrは腎機能低下の細分類にも使用される.Ccrが30~70ml/minを腎機能不全,30ml/min以下を腎不全,10ml/min以下を末期腎不全と分類している.しかし,Crは尿細管からの分泌を受けるため,イヌリンのような完全なGFR物質ではない.Ccrは,真のGFRに比して高値をとる傾向があり,腎不全では約2倍に達する点に留意すべきである.
基準値・異常値
- 基準範囲
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70~130ml/min
変動要因 - 高値
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糸球体過剰濾過、 糖尿病腎症.
140ml/min以上:糖尿病腎症の前期・早期の糸球体過剰濾過.塩分・蛋白摂取過剰での糸球体過剰濾過.
次に必要な検査
血糖,HbA1c,尿中Na,尿素窒素の1日排泄量を測定し,食事での塩分・蛋白摂取量を推算する.
- 低値
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高齢者、 自己免疫疾患、 心不全、 腎炎、 腎硬化症、 脱水、 糖尿病腎症、 尿細管障害、 尿路閉塞、 末期腎不全
10ml/min以下:末期腎不全
対応⇒体重変動,尿量測定,胸部写真,血清K値,血液ガス分析などを行い尿毒症の症状を確認し,透析治療の必要性を検討する.急性な腎機能の悪化であれば,検尿,生化学・免疫学的検査,腎尿路の画像診断を行い,基礎疾患を診断し,必要な薬物療法を開始する.
50ml/min以下:腎血流低下時(例:心不全,脱水,高齢者),腎実質性障害(腎炎,糖尿病腎症,腎硬化症,自己免疫疾患,尿細管障害),尿路閉塞.
次に必要な検査
まず,クレアチニン(Cr)値,検尿結果の過去からの変動を調査する.また,検尿,尿蛋白・電解質定量,尿中β2-ミクログロブリン,α1-ミクログロブリン,尿中NAG,血糖,生化学・免疫学的検査,腎尿路の画像診断を行い,経過(急性あるいは慢性)と原疾患を鑑別する.急性で腎実質性障害の場合は,腎生検も検討する.
- 変動要因
- 不正確な採尿が誤差の原因となる.Ccrが予想より低値の場合は,不完全な採尿が最も考えられる.尿の採取忘れ,採尿器(ユリンメイト®)の操作ミスが多い.
- 高齢男性での前立腺肥大や糖尿病による神経因性膀胱による残尿でも,Ccrが低値となる.
- 食肉摂取後の血清Cr値の上昇,Jaffé法でのクロモゲン(糖,蛋白,アスコルビン酸)による血清Cr値の上昇もCcrの低値につながる.
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