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嘔気嘔吐

別名 nausea, vomiting

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臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. 消化器疾患に伴う非特異的な嘔気嘔吐(例:消化性潰瘍,胆嚢炎,膵炎)が多い.
  2. 腸閉塞など消化管閉塞に伴う嘔気嘔吐を確実に診断する必要がある.
  3. 頭蓋内疾患に伴う嘔気嘔吐があり,重篤な疾患が多いので頭蓋内疾患も念頭に置く.
  4. 妊娠可能年齢の女性では妊娠悪阻の可能性がある(「女性を診たら妊娠と思え」).
  5. 化学療法に伴う嘔気嘔吐に対しては特異的な治療が必要である.
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診断と治療の一般原則

 「どのタイミングで嘔吐したか」は重要な情報である.食事摂取後すぐであれば,食道・胃・十二指腸などの上部消化管での閉塞機転が考えられる.胆嚢炎や膵炎の嘔気嘔吐は発症早期1 時間以内に現れることが多い.食道炎や消化性潰瘍では食事摂取でむしろ症状が和らぐ.妊娠悪阻や尿毒症に伴う嘔気は朝方に起きることが多い.
 また,嘔吐物の内容も原因を示唆することが多い.ほとんど消化されていないような食事であれば,食道疾患の可能性がある.部分的にでも食事が消化されていれば,胃疾患を考慮する.胆汁が混入した吐物では,原因は十二指腸水平脚より肛門側である.
 嘔気嘔吐以外の徴候も診断に非常に重要である.消化性潰瘍,イレウス,胆嚢炎や膵炎では,腹痛を伴う.感染性腸炎や非特異的な胃腸炎では,下痢を伴うことも多い.頭蓋内疾患に伴う嘔吐では,頭痛のほかに神経脱落徴候(neurological defecit)を伴うこともあり,嘔気を感じず突然,噴出するように(projectile),嘔吐するのが特徴とされる.
 実際に患者が嘔吐している場合は,まずバイタルを測定し,吐物が気道に混入しないようにやや頭高位の左側臥位をとらせる.バイタルに変化がある場合は,背景に重篤な疾患(絞扼性イレウスや心血管系疾患)が潜んでいる可能性があるので,work up を急ぐとともに大径の留置針でルートを確保し外液を投与する.
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