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インターフェロン-α,インターフェロン-β,インターフェロン-γ

インターフェロン-α,インターフェロン-β,インターフェロン-γ

略称 IFN-α,IFN-β,IFN-γ

臨床的意義

  • IFNの測定は免疫機構の異常に起因する疾患において,サイトカインネットワークの解析,特に高サイトカイン血症(サイトカインストーム)を伴う病態解析などに用いられる.しかし疾患特異性が低いことから,研究目的を除けば,特殊な状況下で診断のために用いられる程度であり,臨床検査としての意義は限られる.
  • 血球貪食症候群(血球貪食リンパ組織球症ともいう)が疑われる症例では,高サイトカイン血症の証明が診断根拠の一つとなるため,IFN-γが測定される.これに加えて,TNF-α,IL-1,IL-6,M-CSFの測定により,サイトカインネットワークの解析が行われるが,必ずしも診断に直結するものではなく,臨床的には,骨髄塗抹標本でのマクロファージの血球貪食像の観察,血清フェリチン著増,可溶性インターロイキン-2レセプター高値,LD高値,トリグリセリド高値,ウイルス感染やリンパ腫など基礎疾患の検索などが重要である.
  • IFN治療施行中,IFNの血中動態の解析を目的としてIFNの血中濃度を測定する.IFNの効果を厳密に評価する場合には,血清中の2´,5´-オリゴアデニル酸合成酵素も測定する.これはIFNによって細胞内に誘導される抗ウイルス活性を有する酵素である.IFNを投与しているにもかかわらず,有意な血中濃度の上昇がみられない場合は,抗IFN抗体が産生されている可能性があるため,IFN中和抗体価を測定する.
  • 上記のほか,ウイルス感染症や自己免疫疾患などの炎症性疾患において,サイトカインの見地から病態を詳細に解析したいときに検査する.ウイルス感染では急性期に血中濃度が上昇し,回復期に低下する.
  • 近年,再生不良性貧血の発症機序の一つとして骨髄のリンパ球のIFN-γ産生が提唱されている.IFN-γが造血前駆細胞にFasを発現させ,アポトーシスを誘導するというものである.ただし,IFN-γ産生は骨髄リンパ球を用いたRT-PCRでは検出できるが,血中の濃度測定では検出できない.
  • IFN-αは治療薬として,慢性骨髄性白血病,腎癌,B型およびC型慢性肝炎などに,IFN-βは悪性黒色腫,膠芽種などに,IFN-γは腎癌,菌状息肉症などに用いられている.
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基準値・異常値

基準範囲
  • IFN活性:6.0IU/ml未満
  • IFN-α:10pg/ml未満
  • IFN-β:25pg/ml未満
  • IFN-γ:2pg/ml未満 (いずれも参照値)
変動要因
高値

Crohn病、  サルコイドーシス、  関節リウマチ、  気管支喘息、  急性ウイルス感染症、  血球貪食症候群、  原田病、  尋常性乾癬、  潰瘍性大腸炎

■IFN-α,IFN-β
急性ウイルス感染症の急性期,関節リウマチなどの自己免疫疾患,気管支喘息などの一部の症例
■IFN-γ
血球貪食症候群,急性ウイルス感染症の急性期,関節リウマチなどの自己免疫疾患,気管支喘息サルコイドーシス,原田病,Crohn病,潰瘍性大腸炎,尋常性乾癬などの一部の症例

変動要因
予想外の高値の場合は,患者血清中のリウマトイド因子によるELISAの偽高値の可能性を検討する.
( 東田修二 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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