抗アスペルギルス抗体
抗アスペルギルス抗体
別名 | アスペルギルス抗体 |
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臨床的意義
- 本検査は,アスペルギローマおよびABPAが疑われるときに行われる.
- 肺アスペルギローマでは,IgG抗体は約90%以上で陽性となり,偽陽性反応も少ないため診断的意義は高い.ABPA(allergic bronchopulmonary aspergillosis:アレルギー性気管支肺アスペルギルス症)や過敏性肺炎でも,アスペルギローマに比べやや頻度は低いもののIgG抗体が検出される.
- ABPAや好酸球性肺炎(pulmonary infiltration with eosinophilia:PIE)では,IgE抗体が検出される.なお,ABPAではIgG,IgE以外にIgAやIgDなども増加し,多クローン性に抗体産生が起こっている.アスペルギルス肺炎は免疫不全患者に発生するものがほとんどで,抗体産生はない.
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基準値・異常値
- 基準範囲
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陰性(4倍未満)
- 陽性
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PIE症候群(好酸球性肺炎)、 アスペルギローマ、 アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、 過敏性肺炎、 気管支喘息
アスペルギローマ,アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA),過敏性肺炎,気管支喘息,PIE症候群(好酸球性肺炎)
- 次に必要な検査
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今後の検査の進め方
- アスペルギローマを疑い高値を示すとき:胸部X線写真(正面,側面,断層写真)で,菌球やメニスクスサインの有無を確認し,胸部CT写真で菌球の体位変換による移動などを確認する.さらに,喀出痰や気管内採痰の培養で,真菌学的にアスペルギルス属を分離培養する.必要に応じSRIDによる特異抗体を検出する.
- ABPAを疑い高値を示すとき:以下に示すRosenbergの診断基準に従い診断する.①発作性呼吸困難あるいは喘鳴,②末梢血好酸球増多,③Aspergillusに対する即時型皮膚反応陽性,④Aspergillus抗原に対する沈降抗体陽性,⑤IgE高値,⑥移動性または固定性の肺浸潤影の既往,⑦中心性気管支拡張症.
( 前崎繁文 )
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