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蛋白定量(髄液)

蛋白定量(髄液)

別名 総蛋白(髄液),TP(髄液)

臨床的意義

  • 髄膜刺激症状(嘔気・嘔吐頭痛意識障害)がみられたとき,髄膜炎の診断に不可欠である.また,脱髄性疾患,脊髄腫瘍の診断に有用である.
  • 髄液蛋白量の増加は中枢神経組織における器質的障害の存在を意味する.蛋白量が500mg/dl以上に著増する疾患は髄膜炎(特に化膿性および結核性),脊髄クモ膜下腔ブロックを示す脊髄腫瘍が主なものである.そのほか,急性ウイルス性脳炎,神経梅毒,脳腫瘍,Guillain-Barré症候群,多発性神経炎,脳出血がある.
  • 正常髄液中の主要蛋白は,アルブミン(200mg/dl),β-trace(26mg/dl),IgG(22mg/dl),プレアルブミントランスサイレチン)(17mg/dl)である.
  • 個々に測定されるのはアルブミン,IgGで,IgG/アルブミン指数=(髄液IgG/血漿IgG)/(髄液アルブミン/血漿アルブミン)が血液脳関門障害では0.38以下,中枢神経系でのIgG合成亢進では0.52以上である.
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基準値・異常値

基準範囲
8~48mg/dl
変動要因
高値

Guillain-Barré症候群、  クモ膜下出血、  ヘルペス性脳炎、  神経梅毒、  髄膜炎、  脊髄腫瘍、  多発性硬化症、  多発性神経炎、  脳梗塞、  脳実質の外傷、  脳腫瘍、  脳出血、  脳脊髄腫瘍

  • 髄腔中に出血があり,血漿蛋白が混入したとき:脳出血,クモ膜下出血,脳腫瘍,脳実質の外傷,硬膜下血腫
  • 血液脳関門(blood brain barrier:BBB)障害があり,血漿蛋白が髄腔へ移行したとき:髄膜炎,脳脊髄腫瘍,Guillain-Barré症候群,脳梗塞,多発性神経炎
  • 中枢神経系でのIgG合成が亢進したとき:多発性硬化症,神経梅毒,ヘルペス性脳炎
  • 髄液のターンオーバーが阻害されたとき:脊髄腫瘍(髄腔遮断を起こし,その下部で採取した髄液の測定)

次に必要な検査
髄膜炎など感染症が疑われる場合には細菌学的検査は必須である.MRIなど脳の画像診断も不可欠である
変動要因
一般に髄液蛋白の増加を示す検体は細胞数の増加を伴う.髄液蛋白の著増に比して細胞数の少ない特徴的な髄液所見を蛋白細胞乖離現象といい,Guillain-Barré症候群で認められる.
( 伊藤機一 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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