ヘマトクリット
ヘマトクリット
| 略称 | Ht，Hct |
|---|---|
| 別名 | 赤血球容積率，PCV（packed cell volume），VPRC（volume of packed red cell） |
臨床的意義
- 血球と血漿との容積比は，正常人でほぼ一定しているが，貧血ではその程度に応じて減少する．赤血球数やヘモグロビン濃度と同様の意義をもち，日常診療における基本的な検査の一つであり，貧血の分類や赤血球増加症を疑うときの診断およびこれらの疾患の経過観察に利用する．
- ただし，Ht値単独で評価されることは一般的には行われておらず，同時に測定されている赤血球指数MCV（平均赤血球容積），MCH（平均赤血球血色素量），MCHC（平均赤血球ヘモグロビン濃度）のうち，特にMCVを求め，総合的に判断する必要がある．
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基準値・異常値
- 基準範囲
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男性40～52％，女性34～45％
変動要因 - 高値
-
赤血球増加症〔真性赤血球増加症，二次性赤血球増加症（新生児，高地居住者，先天性心疾患チアノーゼ群，慢性肺疾患，エリスロポエチン産生腫瘍）〕、 脱水
脱水，赤血球増加症〔真性赤血球増加症，二次性赤血球増加症（新生児，高地居住者，先天性心疾患チアノーゼ群，慢性肺疾患，エリスロポエチン産生腫瘍）〕
- 低値
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各種の貧血、 水血症
水血症，各種の貧血
- 次に必要な検査
-
Ht値に異常を認めたときは，赤血球数，ヘモグロビン値，赤血球指数を参照する．また，場合によっては赤血球形態を観察する．異常にHt値が高い場合は，赤血球増加症の種類を鑑別する．
- 変動要因
- 水血症や脱水がないかどうかを確認し，必要に応じて再検査を実施する．真性赤血球増加症では，ヘモグロビン生合成に大量の貯蔵鉄が動員され，相対的鉄欠乏状態にあるとみなせるので赤血球容積は小さくなり，赤血球数が著増しているのにHt値は正常範囲にとどまることがある．巨赤芽球性貧血では赤血球容積が増すために，Ht値の低下が赤血球数から予測されるほど高度ではないことがある．
（ 桑島 実 ）
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