γ-アミノ酪酸(血漿,髄液)
γ-アミノ酪酸(血漿,髄液)
略称 | GABA |
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臨床的意義
- 血漿中のGABA濃度は中枢神経系由来のGABA量とともに末梢臓器におけるGABAの産生,肝におけるGABA代謝などを反映し,急性・慢性肝疾患の臨床的指標の一つとして意義を有する可能性がある.急性・慢性肝障害,肝性脳症の疑われるときに測定される.
- 髄液中のGABA濃度は脳内GABA濃度を反映することから,中枢神経系におけるGABA作動性ニューロンの活動度の指標とされ,GABAの関与が想定される中枢神経系神経症状,精神症状の出現時などに測定される.
- ホモカルノシンなどのGABA含有ペプチドの分解が進み,GABA測定値の大幅な上昇が起こりうるので,髄液検体は採取後直ちに冷凍保存することが重要である.
- 髄液腔内において濃度の頭尾勾配(脳室側が高い)の存在が知られているため,腰椎穿刺によって採取された髄液検体については採取分画を考慮に入れた測定値の比較が必要である.
- 男女,年齢差(加齢で減少)に関する報告もあるので,比較対照群の設定には注意を要する.
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基準値・異常値
- 基準範囲
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〈血漿〉120~210pmol/l
- 高値
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肝性脳症、 急性肝疾患、 抗痙攣薬投与(バルプロ酸)、 片頭痛発作時、 慢性肝障害(肝硬変)
〈血漿〉
肝性脳症,急性肝疾患,慢性肝障害(肝硬変),抗痙攣薬投与(バルプロ酸)
〈髄液〉
肝性脳症(変化なしとの報告もあり),抗痙攣薬投与(バルプロ酸),片頭痛発作時
- 低値
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Alzheimer病、 Huntington病、 Parkinson病、 アルコール中毒、 うつ病
〈血漿〉
うつ病,アルコール中毒
〈髄液〉
Alzheimer病,Parkinson病,うつ病,Huntington病(いずれも変化なしとの報告もあり)
- 次に必要な検査
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肝障害,肝性脳症の疑われるときには肝機能検査,脳波などの検査を,中枢神経系に関連する神経,精神症状出現時には他の神経伝達物質,その代謝産物の髄液中濃度の測定などを行う.
( 渡邊 卓 )
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