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プロスタグランジンE2(尿)

プロスタグランジンE2(尿)

略称 PGE2

臨床的意義

  • 本検査は,尿量の異常,血圧の異常,腎機能の異常(特に腎血流量の低下が予想されるとき),レニン・アンジオテンシン系や抗利尿ホルモンの異常がみられるときに行われる.
  • PGE2は,強力な血管拡張作用,レニン分泌刺激作用,ナトリウム利尿作用,抗利尿ホルモンに対する拮抗作用を有する.したがって,生体の水・電解質代謝や血圧調節に重要な役割を果たしている.また,血小板凝集抑制作用をも有する.
  • 腎臓でのPGE2産生は,多くのホルモンにより,例えばレニン・アンジオテンシン系,抗利尿ホルモン,キニンなどにより刺激を受ける.アンジオテンシンⅡや抗利尿ホルモンは強力な血管収縮作用を有し,腎血流量を減少させる.また,ナトリウム再吸収や水分の保持により,血圧を上昇させる.腎で産生されるPGE2は,これらの作用に拮抗し,生体のホメオスターシスを維持するものと考えられる.
  • 24時間尿中に排泄されたPGE2量を知ることにより,腎におけるPGE2産生能がわかる.水・電解質代謝,血圧調節に関わるレニン・アンジオテンシン系や抗利尿ホルモンを同時に測定することにより,腎機能や腎血流量などを推定できる.
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基準値・異常値

基準範囲
  • 男性913±153ng/day
  • 女性416±58ng/day(参考値)
変動要因
高値

アンジオテンシン変換酵素阻害薬(SH基を有するもの)投与時、  高レニン血症(含むBartter症候群)、  食塩制限時、  利尿薬

利尿薬,特にループ系利尿薬投与時,水利尿(多尿)時,抗利尿ホルモンの過剰時,高レニン血症(含むBartter症候群),食塩制限時,アンジオテンシン変換酵素阻害薬(SH基を有するもの)投与時

低値

食塩負荷時、  尿崩症、  本態性高血圧症の一部、  慢性腎不全

尿崩症,食塩負荷時,慢性腎不全,本態性高血圧症の一部

次に必要な検査
血圧,水・電解質代謝の異常,腎機能の程度を腎血流量や糸球体濾過量を測定して評価する.併せて,血漿レニン活性,アンジオテンシンⅡ,抗利尿ホルモンなどを測定する.
変動要因
  • 異常高値の場合,男性では,精液中のPGE2が混入していないかどうかを確かめる.
  • 異常低値の場合,アスピリンや非ステロイド系酸性抗炎症薬を服用していないかどうか確かめる.
  • 著しい多尿の場合,washout現象により,腎臓でのPGE2産生量が亢進していないのに,尿中排泄量が増加することもあり,注意が必要である.
( 片山茂裕 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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