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IgG定量(髄液)

IgG定量(髄液)

略称 CSF IgG
別名 髄液IgG

臨床的意義

  • 髄液中IgGは,上記のように多様な疾患で増加するが,その機序からは,①血中IgGの増加,②血液脳関門の破綻,③中枢神経内でのIgG産生増加,の3つに分類できる.このうち中枢神経系内でのIgG産生増加をきたす病態として臨床的に最も注目されるのが多発性硬化症である.多発性硬化症では脱髄巣における局所的なIgG産生が存在するとされ,髄液総蛋白に対するIgG比率(IgG%)が増加するのが特徴である.
  • 中枢神経内でのIgG産生を証明する指標として,次のIgG indexが用いられる.
             CSF IgG/CSF albumin
    IgG index = --------------------------------------------------
             serum IgG/serum albumin
  • 多発性硬化症では70~80%の例でIgG indexの増加を認める.そのほか,多くの中枢神経系感染症においてもIgG indexの増加が報告されており,中枢神経系内でのIgG産生が示唆されるが,疾患特異性には乏しい.
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基準値・異常値

基準範囲
IgG定量0.5~4.0mg/dl
変動要因
増加

Guillain-Barré症候群、  亜急性硬化性全脳炎、  各種髄膜炎、  骨髄腫、  神経Behçet病、  神経梅毒、  全身性エリテマトーデス、  多発性硬化症、  脳炎、  慢性肝疾患

各種髄膜炎,脳炎,神経梅毒,多発性硬化症,亜急性硬化性全脳炎,神経Behçet病,Guillain-Barré症候群,全身性エリテマトーデス,高γ-グロブリン血症をきたす病態(骨髄腫,慢性肝疾患など)

次に必要な検査
多発性硬化症:髄液オリゴクローナルバンド,myelin basic protein(MBP).
変動要因
単純にIgG量で判断せず,髄液総蛋白(あるいはアルブミン)に対するIgG比率やIgG indexで評価する.前述のように,IgG indexでも感度は70~80%であり,陰性であっても多発性硬化症は否定できない.非特異的陽性が多い点にも注意すべきである.
( 三宅一徳 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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