抗PM-Scl抗体
抗PM-Scl抗体
別名 | PM-Scl抗体,抗PM-1抗体,PM-1抗体 |
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臨床的意義
- 抗PM-Scl抗体は,アメリカにおいてPM-強皮症重複症候群で特異的に検出され,その疾患標識抗体として考えられている.本抗体は,このほかPM/皮膚筋炎(DM),強皮症でも認められるが,全身性エリテマトーデス,関節リウマチなどでは見出されない.
- 抗PM-Scl抗体陽性例の臨床特徴として,レイノー現象,手指硬化症,肺線維症,多関節炎などが記載されている.
- 日本人を対象とした場合,抗PM-Scl抗体が検出されることはきわめてまれである.このことは,人種間の遺伝的要因のためと考えられている.
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基準値・異常値
- 基準範囲
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陰性
変動要因 - 陽性
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強皮症(scleroderma)重複症候群、 多発性筋炎(PM)
- 欧米人対象では多発性筋炎(PM)-強皮症(scleroderma)重複症候群の約10%で陽性
- 日本人対象では検出されることは非常にまれ
- 次に必要な検査
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強皮症,多発性筋炎の臨床所見について検討する.例えば,皮膚硬化範囲の判定,皮膚生検,指尖瘢痕(digital pitting scar)の有無,胸部単純X線写真などによる肺線維症の有無などの検討,血清中筋原性酵素(CKなど)の測定,筋電図,筋生検などによる筋炎の有無の検討である.
- 変動要因
- 重複症候群が疑われ,抗PM-Scl抗体が検出されない場合,他の自己抗体である抗Ku抗体,抗Jo-1抗体,抗DNAトポイソメラーゼⅠ抗体(抗Scl-70抗体),抗U1-RNP抗体,抗Ki抗体などの検査を行う.
( 鏑木淳一 )
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