関節リウマチ
RA
rheumatoid arthritis
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「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。
「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.
詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。
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Clinical Chart
- 自己の関節成分に対する自己免疫が原因で,手足の関節とその周囲にこわばりや疼痛・腫脹をきたす.進行すると関節破壊が進み特有の変形をきたし,関節機能が低下する.全身の関節も侵される.皮膚や肺など関節外にも病変をきたす.
- 関節痛を主訴に来院される患者は,自分はリウマチでは? と思っている.RA だけでなくウイルス感染や OA,痛風,RA 以外の膠原病などでも関節痛が出現することを説明する必要がある.
- RF や抗 CCP 抗体(ACPA)が疾患標識抗体である
- 有病者数は 60~70 万人,女性は男性よりも 3~4 倍多く,40~50 歳代に発症のピークがある推定されている(日本リウマチ友の会 2010 年リウマチ白書).
- 診断は,分類基準を満たすかで決められ,1 カ所の関節炎(腫脹)を確認することから出発し,スコアを満たすかで決まる.この基準は,早期診断を意識した診断基準であるが,特異性が高くないため記載されている鑑別疾患を区別しなければならない.一方,変形性手関節症に合併した関節リウマチも高齢化を反映して多くなっている.
- RA の評価は,臨床的活動性(CDAI,SDAI,DAS28),構造的(Stage,Sharp score),機能的(HAQ など)でなされる.血沈や CRP は炎症を,MMP-3 は関節破壊の進行をしめす.
- 治療は,予後不良のマーカーが多い場合は MTX が第一選択され,症状が改善(寛解または低疾患活動性)しない場合,生物学的製剤を選択することがガイドラインで示されている.同時に患者の希望も盛り込まれるべきとされている.
- MTX の高用量を使用する場合や生物学的製剤を使用する場合,日和見感染のマネージメントが必要である.
- 関節リウマチは難治性であるが,国の特定疾患に指定されていない.悪性関節リウマチは,国の特定疾患に指定されており,申請すれば医療助成を受けることができる.
検査(図1)
<血液検査>
①リウマトイド因子(rheumatoid factor:RF),抗CCP 抗体(anti-cyclic citrullinated peptide antibody:ACPA)があり診断に用いる.西村らによると,RF の感度は69%,特異度は85%であったが,抗CCP 抗体の感度は67%,特異度は95%と報告した(Ann Intern Med 146:797-808, 2007).
②疾患活動性の指標となる血液検査として,炎症を示す赤血球沈降速度(ESR),CRP,血清アミロイドA(SAA)蛋白などがある.手指関節などの小関節の少数の関節炎ではCRP が陰性のことが多い.SAA は,CRP より鋭敏な検査である.アルブミンの低下,症候性貧血の進行,血小板数増加,IgG 増加なども慢性炎症を反映する.マトリックスメタロプロテナーゼ3(MMP-3)は,関節破壊の進行と相関する.RA や痛風などの関節炎をきたす疾患で上昇し疾患特異性はない.ステロイド使用中の症例ではMMP-3 の腎クリアランスが低下するため,たとえ少量でも常に高値を示す.
<画像検査>
①関節Xp にて,軟骨破壊による関節裂隙狭小化,骨びらんの有無を評価する.リウマチ発症早期では変化が乏しく早期診断には適さない.Steinbroker のStage 分類や,Larsen のXp のgrade 分類,点数化したSharp score などが知られている.
②関節MRI 撮影では,骨びらんがXp より早く把握できること以外に,滑膜炎,骨髄浮腫など単純Xp では得られない情報が得られ,早期での病態把握に有効である.
③関節超音波法は,滑膜の肥厚,滑液の貯留,骨びらんの有無を直接観察可能である.滑膜肥厚部位では,ドプラ法(主流はパワードプラ法)を用いて血流の状態を評価することができ,活動性の関節炎の確認が可能で,早期診断や治療の効果判定にも有用である.腱鞘の滑膜炎の存在も観察可能である.
①リウマトイド因子(rheumatoid factor:RF),抗CCP 抗体(anti-cyclic citrullinated peptide antibody:ACPA)があり診断に用いる.西村らによると,RF の感度は69%,特異度は85%であったが,抗CCP 抗体の感度は67%,特異度は95%と報告した(Ann Intern Med 146:797-808, 2007).
②疾患活動性の指標となる血液検査として,炎症を示す赤血球沈降速度(ESR),CRP,血清アミロイドA(SAA)蛋白などがある.手指関節などの小関節の少数の関節炎ではCRP が陰性のことが多い.SAA は,CRP より鋭敏な検査である.アルブミンの低下,症候性貧血の進行,血小板数増加,IgG 増加なども慢性炎症を反映する.マトリックスメタロプロテナーゼ3(MMP-3)は,関節破壊の進行と相関する.RA や痛風などの関節炎をきたす疾患で上昇し疾患特異性はない.ステロイド使用中の症例ではMMP-3 の腎クリアランスが低下するため,たとえ少量でも常に高値を示す.
<画像検査>
①関節Xp にて,軟骨破壊による関節裂隙狭小化,骨びらんの有無を評価する.リウマチ発症早期では変化が乏しく早期診断には適さない.Steinbroker のStage 分類や,Larsen のXp のgrade 分類,点数化したSharp score などが知られている.
②関節MRI 撮影では,骨びらんがXp より早く把握できること以外に,滑膜炎,骨髄浮腫など単純Xp では得られない情報が得られ,早期での病態把握に有効である.
③関節超音波法は,滑膜の肥厚,滑液の貯留,骨びらんの有無を直接観察可能である.滑膜肥厚部位では,ドプラ法(主流はパワードプラ法)を用いて血流の状態を評価することができ,活動性の関節炎の確認が可能で,早期診断や治療の効果判定にも有用である.腱鞘の滑膜炎の存在も観察可能である.
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図1 RA診断と合併症把握・治療とフォロー
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図3 評価する関節 (28関節)