急性腎不全/AKI
acute renal failure/acute kidney injury
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「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。
「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.
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Clinical Chart
- より早期に腎障害をとらえるため,急性腎障害(AKI)の概念が提唱された.
- 腎前性・腎性・腎後性に分けると鑑別しやすい(山谷秀喜,横山 仁:AKIの分類.腎と透析76:466,2014 参照).
- 敗血症の40%以上がAKIを合併する.
- AKIを診た場合は,緊急透析が必要な病態ではないかを繰り返し評価すべきである.
検査
1.腎前性急性腎不全
[検査]
表4に示す.
①血清 BUN/Cr が 20 以上となっていることが多い.
②尿蛋白・尿潜血・各種円柱が陰性の場合が多い.
③有効循環血液量が低下すると尿が濃縮し,尿中 Na排泄が減少するため,尿浸透圧が 500 mOsm/kgH2O以上,尿中 Na 20 mEq/L 以下,となるなどの所見がみられる.
④特に腎性腎不全と鑑別するために最も有用なのがFENa といわれており,腎前性腎不全では 1%未満となる(腎前性腎不全では,糸球体で濾過され尿細管に到達した Na は正常尿細管上皮細胞により積極的に吸収されるため,UNa が低下する).ただし,利尿薬投与,代謝性アルカローシス,糖尿病などの場合はFENa が高値に出るため結果の解釈に注意すべきである.利尿薬投与中は FEUN を使用するとよい.
[検査]
表4に示す.
①血清 BUN/Cr が 20 以上となっていることが多い.
②尿蛋白・尿潜血・各種円柱が陰性の場合が多い.
③有効循環血液量が低下すると尿が濃縮し,尿中 Na排泄が減少するため,尿浸透圧が 500 mOsm/kgH2O以上,尿中 Na 20 mEq/L 以下,となるなどの所見がみられる.
④特に腎性腎不全と鑑別するために最も有用なのがFENa といわれており,腎前性腎不全では 1%未満となる(腎前性腎不全では,糸球体で濾過され尿細管に到達した Na は正常尿細管上皮細胞により積極的に吸収されるため,UNa が低下する).ただし,利尿薬投与,代謝性アルカローシス,糖尿病などの場合はFENa が高値に出るため結果の解釈に注意すべきである.利尿薬投与中は FEUN を使用するとよい.
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表4 AKIの鑑別
尿所見 腎前性 腎性 尿量 乏尿 さまざま 比重 >1.015 1.010 浸透圧 >500 mOsm/L <450 mOsm/L Na 濃度 <20 mEq/L >40 mEq/L Cl 濃度 <20 mEq/L >40 mEq/L FENa <1% >2% FEUN <35% >50% FE;fraction excretion
FENa=(UNa/PNa)/(UCr/PCr)×100
FEUN=(UUN/PUN)/(UCr/PCr)×100
UNa;尿ナトリウム濃度(mEq/L)
PNa;血清ナトリウム濃度(mEq/L)
UCr;尿クレアチニン濃度(mg/dL)
PCr;血清クレアチニン濃度(mg/dL)
UUN;尿尿素窒素濃度(mg/dL)
PUN;血清尿素窒素濃度(mg/dL)