ニューモシスチス肺炎
PCP
pneumocystis pneumonia
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「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。
「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.
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Clinical Chart
検査
- ①採血
- 白血球数の増加,左方移動,CRPの上昇,血沈の亢進に加えて,LDH,β-D-グルカン(31.1pg/mL 以上),KL-6 も上昇する.この3者は通常の細菌性肺炎では上昇せず,PCPの病勢を反映するマーカーとなり重要である.PCP治療が奏効しない場合はCMV抗原検査(C7-HRP)も検討する.
- ②胸部単純Xp
- 両側びまん性に広がるすりガラス影が特徴的で,浸潤影を伴うこともある.また,HIV 陽性患者では上肺野を中心に嚢胞性病変を伴うことが特徴的である. なお,初期には陰影を指摘しにくいことが多く,免疫不全宿主に起こった低酸素血症などでPCPが疑われる場合には,積極的に胸部CT などで精査することが重要となる.
- ③胸部CT
- 両側にびまん性のすりガラス陰影を認め,一部でconsolidationを呈する.すりガラス陰影は上肺野優位,内層優位に分布し,周囲の正常肺を介して淡い高吸収域と相対的な低吸収域が混在するモザイク状の分布(mosaic attenuation pattern)を呈することが多く,地図状分布を示す点も特徴とされる.また,HIV陽性患者では上葉を中心に壁の厚い嚢胞性病変を伴う事が特徴的である. なお,CMV肺炎の合併例では,下肺野優位に小結節・小葉中心性粒状影,consolidationなどを認めることが多く,PCP治療が奏効しない場合はCMV肺炎の合併を検索する.
- ④気管支鏡
- 気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage:BAL)のグロコット染色もしくはギムザ染色で嚢胞などの特徴的な陰影を鏡検で確認することが重要で,感度は90%と良好である.また,PCR法を用いたBAL中のDNA検出もさらに感度が高いが,鏡検でP. jiroveciiを認めずPCR陽性の場合は潜伏感染であり発症ではない可能性がある.
- ⑤喀痰検査
- 呼吸不全などで気管支鏡が困難な場合には,誘発喀痰などの鏡検やPCR法も試みる.
- ⑥ガリウムシンチ
- 特異性に乏しいが,PCPの病勢を反映するため,補助診断として用いる場合もあるが,必須ではない.