『弊社は検査機器・試薬メーカーでありまして、検査を受託することが出来ません。弊社プライマリケアサイトのスピード検索におきましては、
医歯薬出版株式会社からの許諾を受けて「臨床検査項目辞典」の情報を一部転載させていただいております。』
各検査項目がどのような目的で用いられているかを示します。
- 麻疹ウイルスは患者の咳の飛沫,鼻汁などを介して健康人の気道や鼻粘膜に感染する.ウイルスの潜伏期は約10日で,麻疹に罹患すると微熱,咳,鼻炎,結膜炎,高熱の順で臨床症状が現れる(前駆期).この期間が数日続いたのち発疹が生じる(発疹期).発疹期は約5日間続き,回復へと向かう(回復期).特に前駆期の終わりに口腔粘膜にみられるコプリック(Koplic)斑は麻疹に特徴的である.
- 臨床上麻疹に類似する猩紅熱,風疹,突発性発疹などとの区別が困難な場合,また気管支炎,肺炎,中耳炎などの合併症,さらに麻疹ウイルスによる持続感染症としての麻疹後脳炎,亜急性硬化性全脳炎(SSPE),急性散在性脳脊髄炎(ADEM)などが疑われる場合には血清診断が有用である.急性期の麻疹IgM抗体は,発疹出現後約1ヵ月間は検出可能である.
- そのほかに特殊なタイプとして,不完全な免疫のある状況下における麻疹感染での修飾麻疹で血清診断が有用である.この場合潜伏期が1週間前後延長し,軽症の不全型麻疹(前駆症状は軽く,Koplik斑は出現しないことが多く,発疹は急速に出現するが癒合しない.通常合併症はなく,経過は軽い)である.母親由来の抗体が残っている乳児や,γ-グロブリン投与後,secondary vaccine failureなどが原因であり,IgMとIgG抗体の両方が陽性であると診断がつく.
- また,多発性硬化症や自己免疫性肝炎で麻疹抗体が上昇することが知られており,補助診断になる.
基準値・異常値
不特定多数の正常と思われる個体から統計的に得られた平均値。 |
陰性
|
---|---|
異常値を呈する場合 |
SSPE
EIAにおけるカットオフ値は,統計的手法から判定区分値として求めたものであり,偽陽性,偽陰性がある.SSPEでの診断では髄液と血清でCFとHIを測定する. |
次に必要な検査 |
今後の検査の進め方
|
( 河島尚志 )