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臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

●血液ガス分析法
  1. まず一次性変化を決定する(pH,HCO3,PCO2のみで決定).
    ① pH7.38以下で,HCO3が低下していれば,代謝性アシドーシス.
    ② pH7.38以下で,PCO2が上昇していれば,呼吸性アシドーシス.
    ③ pH7.42以上で,HCO3が上昇していれば,代謝性アルカローシス.
    ④ pH7.42以上で,PCO2が低下していれば,呼吸性アルカローシス.
    ⑤ 同時にこれらの値の変化がみられれば,併存と判断(例:pH 7.38以下でHCO3低下,PCO2上昇していれば,代謝性アシドーシス+呼吸性アシドーシスが併存).
  2. 次に代償範囲内にあるかどうか判定する(急性と慢性でも違いあり).
    ① PCO2が代償範囲より低すぎれば,呼吸性アルカローシスが併存.
    ② PCO2が代償範囲より高すぎれば,呼吸性アシドーシスが併存.
    ③ HCO3が代償範囲より低すぎれば,代謝性アシドーシスが併存.
    ④ HCO3が代償範囲より高すぎれば,代謝性アルカローシスが併存.
  3. さらに,代謝性アシドーシスの場合はanion Gap(AG)を計算する.
  4. 特にAG増大性アシドーシスの場合,(24-HCO3)<(AG-12)のとき,代謝性アルカローシスが併存.
  5. 最後に,病歴や臨床徴候と整合性があるか確認する.
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症候

  1. ①病歴と症状:摂食・飲水状況,食欲不振下痢,悪心・嘔吐(嘔吐による胃液喪失量に注意),しびれやテタニー,頭痛,薬剤服用歴.
  2. ②身体所見:頻脈・高血圧の有無などのバイタル,呼吸状態(頻呼吸など),尿量,脱水・浮腫の有無・程度(有効循環血漿量の推定),意識レベル.
③基礎疾患の検索
  1. ①アシドーシス
    • a:呼吸性アシドーシス:COPD,喘息,神経筋疾患,上気道閉塞
    • b:AG(anion gap)の増加する代謝性アシドーシス:糖尿病性ケトアシドーシス,ショック敗血症,乳酸アシドーシス,腎不全,アスピリン中毒
    • c:AG 正常の代謝性アシドーシス:尿細管性アシドーシス,下痢による重炭酸喪失,間質性腎炎,鉱質コルチコイド欠乏,慢性腎不全の早期
  2. ②アルカローシス
    • a:呼吸性アルカローシス:過換気症候群,肺炎,肺塞栓,敗血症,脳炎などの中枢神経疾患
    • b:代謝性アルカローシス:原発性アルドステロン症,ネフローゼや肝硬変・続発性アルドステロン症などのコルチコイド過剰,嘔吐・下痢によるHやClの喪失
④薬剤:上記のいずれの病態も薬剤によって引き起こされる.
  1. ①アシドーシス
    • a:呼吸性アシドーシス:ベンゾジアゼピンなど呼吸抑制を起こすもの
    • b:代謝性アシドーシス:メタノール,エタノール,アスピリン,ビグアナイド剤,ビタミンB1不足時のIVH など
  2. ②アルカローシス
    • a:呼吸性アルカローシス:アスピリン,テオフィリン,カテコラミン
    • b:代謝性アルカローシス:サイアザイド,ループ利尿薬,ペニシリン,甘草,グリチルリチン酸

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