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可溶性P-セレクチン

可溶性P-セレクチン

略称 sCD62P
別名 可溶性CD62P,可溶性GMP-140

臨床的意義

  • P-セレクチンは,トロンビン,ヒスタミン,インターロイキン-8,PAF(血小板活性因子),ロイコトリエンC4,補体,TNF(腫瘍壊死因子)-α,酸化LDLなどの刺激によって,血小板では瞬時に,内皮細胞では数分で表出する.発現したP-セレクチンは刺激後30分以内に速やかに細胞質内還入により消失する.したがって,P-セレクチンの発現は,血管障害,血栓疾患や炎症性病態の形成の初期に深く関与する.また,虚血-再環流障害の際にも発現し,好中球と内皮細胞の接着や,さらに内皮障害にも関与する.
  • 循環血中に検出される可溶性P-セレクチンは,スプライシングにより膜貫通領域を欠落した分子(137kDa)とされ,細胞外成分の大部分を有する.
  • 循環血中の可溶性P-セレクチンを測定することによって,P-セレクチンを発現する血小板や血管内皮細胞の細胞数の増加や血小板の活性化の程度,すなわち血小板や内皮細胞のP-セレクチンの発現量の増加を推測できる.
  • 本検査は血栓形成疾患,血管障害,上記のさまざまな炎症性疾患の活動性や治療効果を知りたいときに応用できる.
  • また,一般的な凝固系マーカーやCRP,赤沈,白血球数などの一般的な炎症マーカーで十分な情報が得られない際に代用できる可能性がある.
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基準値・異常値

基準範囲
75.9~344ng/ml
変動要因
高値

ループス腎炎、  関節リウマチ、  血管炎症候群、  血管障害、  血栓性血小板減少性紫斑病、  成人呼吸促迫症候群(ARDS)、  全身性炎症反応症候群(SIRS)、  糖尿病腎症、  動脈硬化症、  敗血症、  溶血性尿毒症症候群

次に必要な検査
血栓形成性疾患や早期炎症性病態を検出できるとされ,炎症性疾患の活動性の指標とも考えられる.経過を追って病態の進行の程度や治療の効果をみることにも応用できる.また,一般的な凝固系マーカーや炎症マーカー,さらに,他の可溶性接着分子などと比較検討することが肝要である.
変動要因
マウス抗体を用いるEIAであるので,抗体療法を受けて生体内に抗マウス抗体を有する患者では,異常高値または低値を呈する.
( 田中良哉 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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