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糖定量(髄液)

糖定量(髄液)

別名 グルコース定量(髄液),ブドウ糖定量(髄液)

臨床的意義

  • 発熱頭痛,頸強直,嘔吐意識障害,比較的脈拍減少,知覚過敏,精神症状,各種反射異常など髄膜刺激症状の疑われるときに検査する.
  • 髄液糖の増加する場合と減少する場合とがあるが,後者が重要である.
    1. 髄液糖の増加する場合:糖尿病,日本脳炎,尿毒症,脳出血,脳圧亢進時
    2. 髄液糖の減少する場合:著明な減少(ときには5mg/dl以下)は急性化膿性髄膜炎にみられる.中等度の減少(20~40mg/dl)は結核性髄膜炎,真菌性髄膜炎,梅毒性髄膜炎,癌腫性髄膜炎,脳腫瘍でみられる.ウイルス性髄膜炎,脳炎では髄液糖は一般に正常とされるが,軽度低下例も報告されている.一般に髄液糖が45mg/dl以下のときを異常と考える.
  • 細菌性髄膜炎で糖が減少する理由は,糖の消費(脳・脊髄構成細胞の嫌気的解糖の亢進,多核白血球による嫌気的解糖の亢進,細菌による消費),membrane carrier systemの変化による髄腔へのグルコースの取り込み抑制がある.
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基準値・異常値

基準範囲
50~75mg/dl
変動要因
高値

糖尿病、  尿毒症、  脳出血

糖尿病,尿毒症,脳出血

低値

癌腫性髄膜炎、  急性化膿性髄膜炎、  結核性髄膜炎、  真菌性髄膜炎、  梅毒性髄膜炎

急性化膿性髄膜炎,結核性髄膜炎,真菌性髄膜炎,梅毒性髄膜炎,癌腫性髄膜炎

次に必要な検査
髄液糖定量のほか,細胞数・種類測定,蛋白定量が通常同時に行われ,これに臨床症状を加えれば髄膜炎の診断が容易となる.あとは原因病原体の検索が重要で,細菌性(化膿菌,髄膜炎菌,その他),結核性,真菌性(クリプトコッカスなど),ウイルス性(ムンプス,エコー,ヘルペス,麻疹など),原虫性その他についての微生物学的検査ならびに血清学的検査を実施する.髄膜炎の可能性が低い場合,脳の器質的障害を考え,CT,MRIなどの検査を行う.
変動要因
髄液糖が予想外に低値の場合,反対に予想外に高値の場合,血糖値との比較を行い判断する.また予想外に低値のときは,検体採取後,遠心分離せず放置したため,多核白血球,細菌類による糖消費が起こっている可能性が高い.
( 伊藤機一 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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