カリクレイン
カリクレイン
臨床的意義
- 本検査は,出血傾向がほとんど存在しない高度のAPTT延長患者に遭遇したときに行う.
- 第ⅩⅡ因子,プレカリクレイン,HMW-Kの欠損症において,出血症状は呈さない.さらに血漿中においては,前駆体のプレカリクレインとして存在しており,生体内における役割を血漿中カリクレイン濃度で評価できない.
- カリクレインは,組織カリクレインとして腎臓,膵臓,小腸などにも存在する.腎カリクレインは低分子キニノゲン(LMW-K)に作用してカリジンを遊離し,血管平滑筋弛緩作用によって血圧降下作用を発揮する.ただし組織カリクレインは,血漿カリクレインの基質であるHMW-Kにも作用する点や,血管外にもむろん血漿因子が存在しており,生体内においては複雑に関与している可能性も考えられる.
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基準値・異常値
- 基準範囲
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80~120%
- 低値
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ショック、 肝硬変、 先天性欠乏症、 播種性血管内凝固症候群(DIC)、 慢性腎不全
先天性欠乏症,肝硬変,播種性血管内凝固症候群(DIC),ショック,慢性腎不全など
- 次に必要な検査
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まずは前駆体のプレカリクレインを調べておかなければならない.と同時にHMW-K,第ⅩⅡ因子を確認する.
( 腰原公人 )
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