プライマリケア Primary Care

sysmex

検査項目スピード検索

補体その他(C2,C5,C6,C7,C8,C9)

補体その他(C2,C5,C6,C7,C8,C9)

別名 補体第2成分,補体第5~第9成分

臨床的意義

  • C2は補体の初期反応成分であり,古典経路を介して活性化され低下する.C4と類似の変動を示すため,古典経路の活性化の指標としては,血中量も多いC4が測定されることが多い.
  • 慢性肝疾患などでは,産生細胞の機能低下によりC2は低値を示す.また採血後の試験管内において,血清を低温に保存するとC2,C4の蛋白量は変化しないが,活性が低下する補体cold activationがC型肝炎で高頻度に認められる.まれにC2欠損症が認められる.人種差があり,白人に高頻度に認められ,東洋人,黒人には少ない遺伝的疾患である.
  • C5の活性化は補体の古典経路,第2経路,レクチン経路のいずれの活性化経路を経ても起こるため,C3と類似の動態を示す.しかし,C5転換酵素は抑制因子Iに不活化されるため,C5はC3よりも低下を示す頻度は少ない.逆に高値は炎症の際に認められる.
  • C5欠損症は,蛋白欠損例と,蛋白は存在するが機能的に異常なC5機能不全症が知られている.後者ではC5の溶血活性や蛋白量は正常であるが,貪食作用が欠損している.反復する感染症(易感染性)を示すことが多い.
  • C6欠損症では,易感染性(淋菌感染症,髄膜炎などグラム陰性球菌による感染症)やレイノー症状が認められる.
  • C7欠損症では,レイノー症状や易感染性(淋菌感染症,髄膜炎などグラム陰性球菌による感染症)が認められる.
  • C8欠損症では後期補体成分欠損と同じく,易感染性(淋菌感染症,髄膜炎などグラム陰性球菌による感染症)が認められる.
  • C9欠損症においても,易感染性(淋菌感染症,髄膜炎などグラム陰性球菌による感染症)が認められることが多い.日本人における補体成分欠損症のなかで,最も高頻度(1,000人に1人)に認められる.
  • C9欠損症におけるCH50は正常人の約1/3を示すことが多いが,C9は急性期反応蛋白であるため,C9欠損症であっても,炎症性疾患合併の場合にはCH50は基準値~高値を示すこともある.
詳細を見る

基準値・異常値

基準範囲
  • C2:1.6~3.6mg/dl
  • C5:8~15mg/dl
  • C6:2.5~4.5mg/dl
  • C7:2.4~4.6mg/dl
  • C8:5.5~8.9mg/dl
  • C9:2.7~7.3mg/dl(すべて参照値)
高値

悪性疾患、  炎症性疾患

炎症性疾患,悪性疾患などで上昇するが臨床的意義は低い.

低値

ループス腎炎、  悪性関節リウマチ、  遺伝性血管神経性浮腫(C1 INH欠損症)、  急性糸球体腎炎、  血清病、  自己免疫性溶血性貧血、  全身性エリテマトーデス(SLE)、  多臓器不全症、  播種性血管内凝固症候群(DIC)、  補体成分欠損症、  膜性増殖性糸球体腎炎

全身性エリテマトーデス(SLE),悪性関節リウマチ播種性血管内凝固症候群(DIC),多臓器不全症,血清病,自己免疫性溶血性貧血,急性糸球体腎炎,ループス腎炎,膜性増殖性糸球体腎炎,遺伝性血管神経性浮腫(C1 INH欠損症),それぞれの補体成分欠損症,その他

次に必要な検査

補体成分欠損症を疑えば各補体成分活性の測定を行う.
次に必要な検査
補体成分欠損症を疑えば各補体成分活性の測定を行う.
( 竹村周平 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

お問い合わせ サイトマップ
個人情報の取り扱いについて ご利用に際して
会社概要
PAGE TOP