血栓性血小板減少性紫斑病
TTP
thrombotic thrombocytopenic purpura
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「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。
「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.
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Clinical Chart
- 無治療の場合は,致死率が 90%以上の予後不良疾患であるが,血漿交換を実施することによって致死率は 20%程度に低下する.
- 原因不明の血小板減少,溶血性貧血をみた場合に TTP を疑うことが重要である.
- ADAMTS13 活性が 10%未満に著減していれば TTP と診断できる.
- TTP を疑えば,できるだけ早期に血漿交換を開始するが,ステロイド療法を追加することが多い.
- 難治例や再発例が多いが,このような症例にリツキシマブが効果的であることが報告されている(保険適用なし).
臨床所見
後天性TTP は急性疾患であり症状が突然現れるため,原因不明の血小板減少と溶血性貧血を認めた場合に,鑑別診断として思い浮かべる必要がある.その際に参考となる5 徴候の特徴として,
①血小板減少とは100,000/uL 未満を指すが,TTPでは10,000~30,000/uL の症例が多く,50,000/uL以上であれば他の疾患の可能性が高い.②溶血性貧血は赤血球の機械的破壊による貧血である.ヘモグロビンが12 g/dL未満であり,8~10 g/dLの症例が多い.直接クームス試験陰性で,破砕赤血球の出現,間接ビリルビン,LDH,網状赤血球の上昇,ハプトグロビンの著減などの溶血所見で診断する.TTP の診断に破砕赤血球の存在が重視される傾向があるが,TTP に特異的な所見ではない.③腎機能障害とは,尿潜血や尿蛋白陽性のみの軽度の症例から血清クレアチニンが上昇する症例まで存在するが,血液透析を必要とするほど重症の急性腎不全の場合はHUS が疑われる.④発熱は,37℃以上の微熱から39℃台の高熱まで認めるが,全例で認めるわけではなく頻度は低い.⑤動揺性精神神経症状とは,頭痛など軽度のものから,せん妄,錯乱などの精神障害,人格の変化,意識レベルの低下,四肢麻痺や痙攣などの神経障害などであり,これらを認めると予後が悪いといわれている.
これらの5 徴候以外で出現頻度が高く,注意すべき所見として,腹痛などの腹部症状があり,HUS との鑑別が重要である.また,急性期にもっとも注意すべき致死的な合併症として心筋虚血があり,トロポニンTを確認するとともに,心電図などの検査を行うことが重要である.
①血小板減少とは100,000/uL 未満を指すが,TTPでは10,000~30,000/uL の症例が多く,50,000/uL以上であれば他の疾患の可能性が高い.②溶血性貧血は赤血球の機械的破壊による貧血である.ヘモグロビンが12 g/dL未満であり,8~10 g/dLの症例が多い.直接クームス試験陰性で,破砕赤血球の出現,間接ビリルビン,LDH,網状赤血球の上昇,ハプトグロビンの著減などの溶血所見で診断する.TTP の診断に破砕赤血球の存在が重視される傾向があるが,TTP に特異的な所見ではない.③腎機能障害とは,尿潜血や尿蛋白陽性のみの軽度の症例から血清クレアチニンが上昇する症例まで存在するが,血液透析を必要とするほど重症の急性腎不全の場合はHUS が疑われる.④発熱は,37℃以上の微熱から39℃台の高熱まで認めるが,全例で認めるわけではなく頻度は低い.⑤動揺性精神神経症状とは,頭痛など軽度のものから,せん妄,錯乱などの精神障害,人格の変化,意識レベルの低下,四肢麻痺や痙攣などの神経障害などであり,これらを認めると予後が悪いといわれている.
これらの5 徴候以外で出現頻度が高く,注意すべき所見として,腹痛などの腹部症状があり,HUS との鑑別が重要である.また,急性期にもっとも注意すべき致死的な合併症として心筋虚血があり,トロポニンTを確認するとともに,心電図などの検査を行うことが重要である.