過換気症候群
hyperventilation syndrome
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「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。
「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.
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Clinical Chart
- 過換気症候群(広義)は,種々の病態や疾患により肺胞換気の亢進(肺胞過換気)が起こり,呼吸困難感,動悸,不安,テタニーなどの多彩な症状を呈する症候群である(表1).
- 過換気症候群(狭義)は,精神的な要因で若年女性を中心に起こり,過換気による呼吸性アルカローシスが不安の助長に影響し,状態が持続する悪循環に陥る.
- 診断は除外診断であり,器質的疾患の除外が重要となる.
- ていねいな説明により患者を落ち着かせながら,腹式呼吸などで浅い頻呼吸を正すことが重要である.ペーパーバック再呼吸法は低酸素血症を誘発して死亡例も報告されており,推奨されない.
- 生命予後は良好であるが,約 50%で再発を認めており,再発防止に精神科,心療内科との連携が重要となる.
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表1 過換気症候群の原因
1) 低酸素血症 高山病,慢性呼吸不全,シャント性心疾患 2) 肺疾患 肺炎,間質性肺炎,非心原性肺水腫,気管支喘息,気胸,胸膜炎 3) 心血管系疾患 うっ血性心不全,急性心筋梗塞,肺血栓塞栓症,不整脈 4) 代謝性疾患 肝不全,糖尿病性ケトアシドーシス,腎不全,乳酸アシドーシス 5) 神経疾患 髄膜炎,脳梗塞,脳腫瘍 6) 薬剤誘発性 サリチル酸,メチルキサンチン誘導体,β<Sub>2</Sub>受容体刺激薬,プロゲステロン,アルコール,カフェイン,ニコチン,コカイン 7) その他 発熱,敗血症,疼痛,妊娠 8) 過換気症候群(狭義) 精神・心理的要因(1~7を除外した上で診断)
鑑別診断・検査
診断基準は確立されておらず,①症状を説明する器質的な疾患を認めない,②アルカローシスと交感神経刺激による多彩な症状を認める,③発作時には動脈血二酸化炭素分圧が低下し,呼吸性アルカローシスである場合が多い,④随意的でない過換気発作により生じて,過換気の改善とともに症状は速やかに消失する,などを参考にする.
基本的には除外診断となり,胸部症状に関連するだけでも気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)急性増悪,心不全,不整脈,心筋梗塞,肺血栓塞栓症,大動脈解離,気胸,食道破裂などがあげられ,その他,消化器疾患,特に肝不全による高アンモニア血症や,電解質異常,脱水など含めて検討する.
聴診で副雑音を聴取しないこと,呼吸音減弱がないことなどをまず確認し,心電図,胸部Xp,採血(血算,生化学,トロポニンT(/I),D-ダイマーなど),心エコーなどの補助診断も場合に応じて用いる.
繰り返しとなるが,心筋梗塞,肺血栓塞栓症,大動脈解離,気胸,食道破裂などの致死的な器質的疾患がないことを確認することが重要である.
基本的には除外診断となり,胸部症状に関連するだけでも気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)急性増悪,心不全,不整脈,心筋梗塞,肺血栓塞栓症,大動脈解離,気胸,食道破裂などがあげられ,その他,消化器疾患,特に肝不全による高アンモニア血症や,電解質異常,脱水など含めて検討する.
聴診で副雑音を聴取しないこと,呼吸音減弱がないことなどをまず確認し,心電図,胸部Xp,採血(血算,生化学,トロポニンT(/I),D-ダイマーなど),心エコーなどの補助診断も場合に応じて用いる.
繰り返しとなるが,心筋梗塞,肺血栓塞栓症,大動脈解離,気胸,食道破裂などの致死的な器質的疾患がないことを確認することが重要である.