カルシウム(尿)
別名 | Ca(尿) |
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臨床的意義
- 副甲状腺機能亢進症,副甲状腺機能低下症(特発性,偽性),甲状腺機能亢進症の診断に際し測定する.多くは同時に血清Ca,P,尿中cAMPの測定が必要である.また尿路結石症,微小血尿の原因探索に有用なことがある.
- 尿Ca測定のみでは臨床的意義は乏しく,血清Ca,P,腎X線,尿沈渣など基本的検査所見による総合判定が必要である.
- 一般には尿Caと血清Ca量は並行する.例えば副甲状腺機能亢進症は尿Ca増加・血清Ca増加を示し,同低下症は尿Ca減少・血清Ca減少を示す.しかし,尿Ca減少・血清Ca増加の例としてミルクアルカリ症候群,サイアザイド剤投与,家族性低Ca尿性高Ca血症がある.
- 最近,小児科領域で話題性を増している疾患に先天性高Ca尿症がある.学校検尿で「微小血尿」を指摘される例の一部に本症があり,結石症を合併することがある.本症では体重1kg当たりCa量は4mg/day以上またはCa/クレアチニン比0.25以上である.
基準値・異常値
- 基準範囲
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0.1~0.3g/day
変動要因 - 高値
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アシドーシス、 サルコイドーシス、 ビタミンD中毒症、 悪性腫瘍による高Ca血症、 原発性副甲状腺機能亢進症、 甲状腺機能亢進症、 高蛋白食摂取、 先天性高Ca尿症、 特発性高Ca尿症
原発性副甲状腺機能亢進症,甲状腺機能亢進症,悪性腫瘍による高Ca血症,ビタミンD中毒症,サルコイドーシス,アシドーシス,特発性高Ca尿症,先天性高Ca尿症,高蛋白食摂取
- 低値
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Ca摂取不足、 P摂取過剰、 アルカローシス、 サイアザイド利尿剤投与、 ビタミンD欠乏症、 リチウム長期投与、 偽性副甲状腺機能低下症、 副甲状腺機能低下症、 慢性腎不全
副甲状腺機能低下症,偽性副甲状腺機能低下症,ビタミンD欠乏症,慢性腎不全,Ca摂取不足,P摂取過剰,サイアザイド利尿剤投与,リチウム長期投与,アルカローシス
- 次に必要な検査
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尿Ca増加の場合,血清Ca,P,ビタミンDの測定値を参照しながら基礎疾患の検索へと進める.特発性高Ca尿症の鑑別には尿細管Ca再吸収能(低下)をみる方法がある.
- 変動要因
- 日本人のCa摂取量が少ないことが報告されたことも手伝って,錠剤,機能性食品などで必要以上に摂取している者がみられ,その分だけ尿Caは高くなる.
- 低Ca尿は,蓄尿時にCa塩の沈殿を生じたものを十分に撹拌せずに検査材料としたときにみられる(尿pHを3前後にしておくと防げる).サイアザイド利尿剤,リチウム投与例も低下する.
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