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便秘

別名 constipation

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臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. 便秘はよくある疾患(common disease)であり,慢性便秘の罹患率は20%である.高齢になる程増加し,男性より女性に多い.
  2. 40歳以上の慢性便秘では器質性便秘,特に大腸癌を除外する.大腸内視鏡検査を必ず行う.
  3. 問診により薬剤性便秘,症候性便秘を除外する.
  4. 便秘の治療の第一は生活療法,日常生活の健全化である.薬物療法のみでは治癒しない.
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検査

①血液検査
 貧血,CEA 高値は大腸癌を疑う.症候性便秘の原疾患の糖尿病甲状腺機能低下症,低K 血症,高Ca 血症は血液で診断できる.
 糖尿病では口渇,多飲,多尿,体重減少,無月経,浮腫を認める.
 甲状腺機能低下症では全身倦怠,寒がり,嗄声,体重増加,浮腫(下腿,眼瞼,顔面),甲状腺腫を認める.
 低K 血症では上肢より下肢で著明な筋脱力,麻痺性イレウス,横紋筋融解,ミオグロビン尿症,急性腎不全,呼吸筋麻痺,心室性不整脈がみられる.
 高Ca 血症では嘔気,嘔吐,食欲低下,便秘,多尿,多飲,脱水,うつ,意識障害,混迷,昏睡,痙攣,腎障害,浮腫,腎結石,QT 短縮,消化性潰瘍,膵炎がみられる.
②腹部Xp
 小腸,大腸の鏡面像,ニボーは腸閉塞,イレウスの症状であるが,機械的イレウスか機能的イレウスかの診断が重要である.機械的イレウスでは閉塞部位より口側に限局して拡張している.機能的(麻痺性)イレウスでは小腸,大腸全体に拡張している.正確な両者の鑑別には腹部CT が必要である.さらに必要あれば大腸内視鏡検査,注腸Xp を行う.
③ガストログラフィン注腸Xp
 診断と治療を兼ねる.高度便秘で,大腸癌などの器質性便秘と機能性便秘との鑑別が必要な場合に行う.ガストログラフィンは下剤の作用もあるため,検査後大量の排便をきたし治療にもなる.
④排便造影,デフェコグラフィー(defecography)
 造影剤(便に近い状態に工夫されたもの)を直腸内に注入し,静止時,肛門収縮時,排便時の直腸肛門部を透視下で側面より撮影する.直腸瘤(rectocele)や直腸重積(rectal intussusception)などの直腸性便秘の診断には必須である.
 直腸瘤は経産婦,経腟的子宮全摘後の高齢女性にみられる.直腸下部が腟後壁に向かって袋状に突出した状態である.排便造影では袋状に突出した状態がガチョウの嘴に似ているのでgoose sign という(図2).このため排便に際して腹圧が直腸前壁へ逃げて,肛門のほうへ圧がかからず,排便困難を訴える.排便時,腟に指を入れて腟後壁を直腸側へ押している患者もいる.手術が有効である.
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図2 直腸瘤の排便造影
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