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TNF-α,TNF-β

TNF-α,TNF-β

別名 腫瘍壊死因子-α,腫瘍壊死因子-β,リンホトキシン(LT)

臨床的意義

  • TNF-αの測定は炎症の病態形成の解析,特にサイトカインネットワークの解析やマクロファージの活性化の評価に有用であり,高サイトカイン血症(サイトカインストーム)を伴う病態の解析に用いられる.しかし疾患特異性が低いことから,研究目的を除けば,特殊な状況下で診断のために用いられる程度であり,臨床検査としての意義は限られる.
  • 血球貪食症候群(血球貪食リンパ組織球症ともいう)が疑われる症例では,高サイトカイン血症の証明が診断根拠の一つとなるためTNF-αが測定される.これに加えて,IFN-γ,IL-1,IL-6,M-CSFの測定により,サイトカインネットワークの解析が行われるが,必ずしも診断に直結するものではなく,臨床的には,骨髄塗抹標本でのマクロファージの血球貪食像の観察,血清フェリチン著増,可溶性インターロイキン-2レセプター高値,LD高値,トリグリセリド高値,ウイルス感染やリンパ腫など基礎疾患の検索が重要である.
  • TNF-αは細菌性敗血症ショック患者の予後の推定に用いられることがある.血清TNF-α値が250pg/mlを超える患者では死亡率が高かったという報告がある.また,潰瘍性大腸炎やCrohn病患者では,血清TNF-α値が病勢を反映するとされる.
  • TNF-αに対するモノクローナル抗体が,関節リウマチやCrohn病の治療薬として用いられている.
  • TNF-βはTNF-αと同様の炎症,免疫,細胞死に関連するさまざまな機能を有するが,特定の疾患や病態との関連は不詳である.
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基準値・異常値

基準範囲
  • TNF-α:4pg/ml未満
  • TNF-β:15pg/ml未満(いずれも参照値)
変動要因
高値

Crohn病、  Hansen病、  マラリア、  リーシュマニア、  関節リウマチ、  血球貪食症候群、  細菌性敗血症性ショック、  髄膜炎菌性髄膜炎、  川崎病、  全身性エリテマトーデス、  潰瘍性大腸炎

■TNF-α
細菌性敗血症ショック髄膜炎,菌性髄膜炎血球貪食症候群,Hansen病,マラリア,リーシュマニア,潰瘍性大腸炎,Crohn病,関節リウマチ全身性エリテマトーデス川崎病などの一部の症例

変動要因
  • TNFに限らずサイトカインは失活しやすいため,検体の保存や採取から測定までの時間に問題がなかったかを検討する.
  • 予想外の高値の場合は患者血清中のリウマトイド因子によるELISAの偽高値の可能性を検討する.
( 東田修二 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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