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可溶性VCAM-1

可溶性VCAM-1

略称 sVCAM-1
別名 可溶性CD106,可溶性血管細胞接着分子-1

臨床的意義

  • VCAM-1の発現は,IL-1,TNF-α,IFN-γなどの炎症性サイトカインや活性酸素などの刺激によって,数時間以内に血管内皮細胞上で著明に増強し,循環血中や組織内のリンパ球や好酸球などとの接着や活性化に関与する.したがって,VCAM-1の発現は,自己免疫,感染,腫瘍浸潤,移植拒絶,アレルギー,さらには動脈硬化などを契機にもたらされる炎症性病態の形成に深く関与する.
  • 循環血中や組織液中に検出される可溶性VCAM-1は,主に血管内皮細胞表面に発現したものが遊離したもので(80kDa,一部は50kDa),細胞外成分の大部分を有する.
  • 循環血中や組織液中の可溶性VCAM-1を測定することによって,血管内皮細胞などのVCAM-1を発現する細胞数の増加やそれらの細胞上のVCAM-1の発現量の増加を推測できる.
  • 本検査は,上記の各種炎症性疾患の活動性や治療効果を知りたいときに応用できる.
  • CRP,赤沈,白血球数などの一般的な炎症マーカーで十分な情報が得られない際に代用できる可能性がある.
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基準値・異常値

基準範囲
358~1,020ng/ml
変動要因
高値

HIV-1感染、  サイトメガロウイルス感染症、  サルコイドーシスや糖尿病腎症、  移植拒絶、  関節リウマチ、  気管支喘息、  血管炎症候群、  心筋梗塞、  成人呼吸促迫症候群(ARDS)、  全身性エリテマトーデス、  全身性炎症反応症候群(SIRS)、  動脈硬化症、  脳脊髄炎、  敗血症

各種炎症性疾患の活動期:①成人呼吸促迫症候群(ARDS),全身性炎症反応症候群(SIRS),②感染:敗血症,HIV-1感染,サイトメガロウイルス感染症,脳脊髄炎,③関節リウマチ,血管炎症候群,全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患,④移植拒絶,⑤気管支喘息(重症),⑥心筋梗塞,動脈硬化症,⑦その他:サルコイドーシス糖尿病腎症など

次に必要な検査
基本的には炎症性疾患の活動性の指標と考えられ,経過を追って病態の進行の程度や治療の効果をみることが主目的であると考えられる.また,一般的な炎症マーカー,さらに,他の可溶性接着分子などと比較検討することが肝要である.
変動要因
マウス抗体を用いるEIAであるので,抗体療法を受けて生体内に抗マウス抗体を有する患者では,異常高値または低値を呈する.
( 田中良哉 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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