穿刺液一般検査
別名 | 胸水検査,腹水検査,心のう液検査 |
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臨床的意義
- 本検査は,胸水,腹水,心のう水の貯留が画像診断上確認され,その成因の確定が治療上必要である場合に実施される.
- 胸水・腹水は肉眼的性状では漿液性のものが多い.漿液性の胸・腹水は,その成因から漏出液と滲出液に大別される.漏出液は低蛋白血症による血漿膠質浸透圧の低下や静脈圧の亢進,血管壁透過性の亢進など非炎症性の成因によって貯留する.滲出液は漿膜腔の感染症や悪性腫瘍浸潤など局所の炎症に起因するものである.両者は蛋白量,細胞数・分画,Rivalta反応などの所見に基づき表1-7のように鑑別を行う.
- Rivalta反応は酢酸による蛋白の凝固を観察する検査で,おおむね蛋白量に比例するが,本検査の所見のみで鑑別を行うのは困難である.
- 漿液性以外の特殊な性状を示す胸・腹水としては以下のようなものがある.
- 膿性:細菌感染,外傷,内臓穿孔などによる化膿性炎症.
- 血性:主として悪性腫瘍による.胸水では結核,肺梗塞でもみられる場合がある.
- 乳び様:胸管またはリンパ管の閉塞や損傷により生じ,外傷,悪性腫瘍の浸潤,フィラリア症などによる.
基準値・異常値
- 基準範囲
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なし(健康人では採取不能のため)
変動要因 - 異常値を呈する場合
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Budd-Chiari症候群、 SLE、 うっ血性心不全、 ネフローゼ症候群、 フィラリア症、 悪性腫瘍の浸潤、 悪性腫瘍の転移・浸潤、 感染性心外膜炎、 肝硬変症、 癌性腹膜炎、 急性腹膜炎、 胸管の閉塞・損傷、 胸膜炎、 結核性腹膜炎、 後腹膜腫瘍、 腫瘍による圧迫、 心タンポナーデ、 低蛋白血症、 粘液水腫、 肺炎、 肺化膿症、 肺梗塞、 肺膿瘍、 腹部リンパ管閉塞・損傷、 門脈閉塞、 膵炎
胸水
<浸出液>うっ血性心不全,ネフローゼ症候群,肝硬変症,粘液水腫
<滲出液>胸膜炎(特に結核症),肺梗塞,悪性腫瘍の転移・浸潤
<その他>膿性:肺炎,肺化膿症,肺膿瘍 乳び性:胸管の閉塞・損傷,腫瘍による圧迫
腹水
<浸出液>うっ血性心不全,ネフローゼ症候群,肝硬変症,粘液水腫,門脈閉塞,Budd-Chiari症候群
<滲出液>急性腹膜炎,結核性腹膜炎,癌性腹膜炎,膵炎
<その他>乳び性:腹部リンパ管閉塞・損傷,後腹膜腫瘍,フィラリア症
心嚢水
<浸出液>低蛋白血症,SLE,粘液水腫
<滲出液>感染性心外膜炎
<その他>血性:心タンポナーデ,悪性腫瘍の浸潤
- 次に必要な検査
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- 感染症:微生物検査.
- 悪性腫瘍:腫瘍マーカー,細胞診.
- 変動要因
- 滲出液,漏出液の鑑別は絶対的なものではない.例えば滲出液の性状を呈することが多い悪性腫瘍の胸・腹水でも,低蛋白血症が進行するとしばしば蛋白量が低下して漏出液の性状となる.逆に漏出液をきたす病態でも,反復穿刺により蛋白量が増加して滲出液相当の所見を示すことがある.臨床情報や血清蛋白濃度と併せ総合的な判断が必要である.
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