サイクリックAMP(尿)
略称 | UcAMP |
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臨床的意義
- 低カルシウム血症あるいは,高カルシウム血症の鑑別診断において,副甲状腺機能異常が疑われる場合に測定する.Ellsworth-Howard試験は副甲状腺機能低下症が確認された場合に限り,鑑別診断の目的で行う.
- 腎原性cAMPを算出する際,Ellsworth-Howard試験の際に測定する.腎性尿崩症において,ADH投与によって尿中cAMPが増加するⅡ型,増加しないⅠ型の病型診断に用いることがある.
- 尿中cAMPは腎尿細管由来のcAMPを多く含むことから,副甲状腺疾患の診断に有用である.
- PTHは腎尿細管に存在するPTH受容体に結合して,細胞内cAMP産生を促進する.細胞内cAMPの一部が尿細管腔に排泄され尿中cAMPとして測定される.したがって,PTHが欠乏する術後性副甲状腺機能低下症,特発性副甲状腺機能低下症,PTH受容体からアデニル酸シクラーゼまでの伝達系に障害のある偽性副甲状腺機能低下症1型では尿中cAMPは低下する.原発性副甲状腺機能亢進症,PTHrPによる悪性腫瘍由来の高カルシウム血症では尿中cAMPは増加する.
- 尿中cAMPは腎機能の影響を受けやすく,GFR 40ml/min以下の場合には副甲状腺機能の指標としての信頼性は低くなる.血漿cAMP濃度に影響する薬物(【→】「サイクリックAMP」p.451)服用時には影響を受ける.
基準値・異常値
- 基準範囲
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2~7μmol/day
- 高値
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ビタミンD摂取不足、 ビタミンD抵抗性くる病、 肝硬変、 偽性副甲状腺機能低下症2型、 甲状腺機能亢進症、 心筋梗塞、 心不全、 腎不全、 副甲状腺機能亢進症、 閉塞性黄疸、 躁うつ病
副甲状腺機能亢進症,偽性副甲状腺機能低下症2型,ビタミンD抵抗性くる病,ビタミンD摂取不足,甲状腺機能亢進症,心疾患(心筋梗塞,心不全),肝疾患(肝硬変,閉塞性黄疸),腎不全,躁うつ病
- 低値
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ビタミンD依存症、 偽性副甲状腺機能低下症1型、 甲状腺機能低下症、 術後性副甲状腺機能低下症、 低Mg血症、 特発性副甲状腺機能低下症
術後性副甲状腺機能低下症,特発性副甲状腺機能低下症,偽性副甲状腺機能低下症1型,低Mg血症,甲状腺機能低下症,ビタミンD依存症
- 次に必要な検査
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