二次性糸球体疾患
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「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。
「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.
詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。
(リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690)
Clinical Chart
診断
[糖尿病性腎症]
①維持透析患者導入の原因疾患の第1 位であり40%を超える割合であるが,近年導入数の減少がみられはじめている.
②ネフローゼ症候群もしくはそれに近い尿蛋白を有する例は進行が早く,水分貯留傾向も強い.血清クレアチニン値が2 mg/dL 前後でも除水をメインとした透析療法を必要とする場合もある.
③糖尿病を合併していても,尿蛋白に乏しい例は後述の腎硬化症に似た病態であり進行が遅い.
④低レニンを示す例があり,高カリウム血症に要注意である.
⑤透析導入後の平均寿命が7 年程度に延びたものの,予後不良である.
[腎硬化症]
①現在,維持透析患者導入の原因疾患の第3 位を占め,高齢者の増加とともにその数は増加傾向にあり,近い将来に第2 位となる可能性が高い.
②高血圧による腎実質内の動脈硬化が原因であり,糸球体の虚血性変化が進行することでGFR が次第に低下する.
③尿所見は軽微であり,蛋白尿も1 g 以下のことが多い.
④画像診断では,腎表面の凹凸が目立つことが多い.
⑤RAA 系阻害薬を中心とした降圧療法が,腎機能低下抑制に有用である.
⑥高血圧の病歴が長く,尿所見に乏しく,腎機能低下が比較的緩やかである高齢者のCKD を診た場合は,この疾患であることが多い.
[ループス腎炎]
①SLE 症例の約60%にループス腎炎を合併するとされている.
②50~60%はネフローゼ症候群を示す.
③低補体血症をしめす.疾患活動性との関連はds-DNA 抗体.
④INS/RPS 分類2003 によって,ClassⅠ(軽微メサンギウム変化),ClassⅡ(メサンギウム増殖性腎炎),Class Ⅲ(巣状糸球体腎炎),Class Ⅳ(び漫性ループス腎炎),Class Ⅴ(膜性ループス腎炎),Class Ⅵ(進行性硬化性ループス腎炎)に分類される.
⑤ClassⅡ,Ⅲ,Ⅳであれば,PSL 内服に加え,ステロイドパルス療法,シクロホスファミド間欠的静注療法が選択される.
⑥血漿交換療法や血液吸着療法も補助的に用いられることもある.
⑦寛解維持には,ステロイド内服に加え免疫抑制剤を使用することが多い.
[膠原病による腎病変]
①全身性硬化症では,悪性高血圧と急速に悪化する腎不全を呈し,強皮症腎クリーゼを発症する場合があり,その際はACE 阻害薬が有効である.
②シェーグレン症候群は主に尿細管間質性腎炎をきたし,遠位尿細管性アシドーシスを発症すると,低カリウム血症や高カルシウム尿症を合併する.
③関節リウマチに使用される,金製剤・D-ペニシラミン・ブシラミンによるネフローゼ症候群が知られている.薬剤中止により数カ月後以内に緩解することが多い.
④活動性が高くコントロール不良の関節リウマチ症例では,腎アミロイドーシス(AA 型)が合併することがある.関節リウマチそのものによる糸球体腎炎は,メサンギウム増殖性腎炎の形態をとるといわれている.
[骨髄腫関連腎障害]
①多発性骨髄腫の約30~40%に腎障害が出現する.
②その機序は単クローン性に増殖した軽鎖が,遠位尿細管や集合管内で,Tamm-Horsfall 蛋白と結合して凝集し円柱を形成した結果,尿細管の閉塞に至るcast nephropathy が多いが,その他,高カルシウム血症や,軽鎖沈着症(LCDD),アミロイドーシスなどの関与がしられている.
③腎予後はかなり厳しく,5~10%の患者で透析療法が必要.
④従来は,MP 療法(メルファラン+プレドニン)やデキサメタゾン大量療法が行われ,予後改善には至らなかったが,ボルテゾミブの出現でその予後が改善するとする報告が相次いでいる.
⑤ボルテゾミブは,肝代謝であり,透析患者でも通常量での治療が可能である.末梢神経障害の出現頻度が高く,わが国ではより出現頻度の低い週1 回皮下投与が主流となってきている.また,ヘルペス感染症を高率に引き起こすことから,バラシクロビルの併用がすすめられている.
[腎アミロイドーシス]
①糸球体にアミロイドが沈着すると,ネフローゼ症候群を呈することが多い.
②腎機能低下の割に腎サイズが保たれている場合が多い.
③治療法は確立されていないが,メルファラン・デキサメタゾン療法が効果的であることもある.若年者は自家末梢血幹細胞移植の適応を考慮する.
④高齢者のネフローゼ症候群を伴う腎機能低下には必ず鑑別に入れておかねばならない.
[ウイルス感染に伴う腎症]
①HBV による腎症は,HBV の持続感染に伴う免疫反応によって引き起こされ,小児では,膜性腎症,成人では,膜性増殖性糸球体腎炎・メサンギウム増殖性糸球体腎炎の形態をとる.
②成人では,HBs 抗原とHBe 抗原が関与するとされる.HCV による腎症は,クリオグロブリン血症を伴うものが多く,膜性増殖性腎炎を起こす.
③クリオグロブリン血症を伴うものは,紫斑や関節痛などの血管炎症状や低補体血症が出現することが多い.
④HIV による腎症は,ネフローゼ症候群を・腎機能障害も起こす.腎組織では,巣状糸球体硬化症を呈する.
⑤ヒトパルボウイルスB19 による微小変化型ネフローゼ症候群は比較的しられている.
[紫斑病性腎炎]
①アレルギー性紫斑病(HSP)にともなう腎炎(HSP発症後1 カ月以内がほとんど)であり,小児期腎疾患の15%をしめる.
②小児発症例は一過性の血尿・蛋白尿のみで自然寛解する例も多いが,成人発症例は比較的まれであるが,予後は不良であるといわれている.
③病理学的にはIgA 腎症と共通点が多い.
①維持透析患者導入の原因疾患の第1 位であり40%を超える割合であるが,近年導入数の減少がみられはじめている.
②ネフローゼ症候群もしくはそれに近い尿蛋白を有する例は進行が早く,水分貯留傾向も強い.血清クレアチニン値が2 mg/dL 前後でも除水をメインとした透析療法を必要とする場合もある.
③糖尿病を合併していても,尿蛋白に乏しい例は後述の腎硬化症に似た病態であり進行が遅い.
④低レニンを示す例があり,高カリウム血症に要注意である.
⑤透析導入後の平均寿命が7 年程度に延びたものの,予後不良である.
[腎硬化症]
①現在,維持透析患者導入の原因疾患の第3 位を占め,高齢者の増加とともにその数は増加傾向にあり,近い将来に第2 位となる可能性が高い.
②高血圧による腎実質内の動脈硬化が原因であり,糸球体の虚血性変化が進行することでGFR が次第に低下する.
③尿所見は軽微であり,蛋白尿も1 g 以下のことが多い.
④画像診断では,腎表面の凹凸が目立つことが多い.
⑤RAA 系阻害薬を中心とした降圧療法が,腎機能低下抑制に有用である.
⑥高血圧の病歴が長く,尿所見に乏しく,腎機能低下が比較的緩やかである高齢者のCKD を診た場合は,この疾患であることが多い.
[ループス腎炎]
①SLE 症例の約60%にループス腎炎を合併するとされている.
②50~60%はネフローゼ症候群を示す.
③低補体血症をしめす.疾患活動性との関連はds-DNA 抗体.
④INS/RPS 分類2003 によって,ClassⅠ(軽微メサンギウム変化),ClassⅡ(メサンギウム増殖性腎炎),Class Ⅲ(巣状糸球体腎炎),Class Ⅳ(び漫性ループス腎炎),Class Ⅴ(膜性ループス腎炎),Class Ⅵ(進行性硬化性ループス腎炎)に分類される.
⑤ClassⅡ,Ⅲ,Ⅳであれば,PSL 内服に加え,ステロイドパルス療法,シクロホスファミド間欠的静注療法が選択される.
⑥血漿交換療法や血液吸着療法も補助的に用いられることもある.
⑦寛解維持には,ステロイド内服に加え免疫抑制剤を使用することが多い.
[膠原病による腎病変]
①全身性硬化症では,悪性高血圧と急速に悪化する腎不全を呈し,強皮症腎クリーゼを発症する場合があり,その際はACE 阻害薬が有効である.
②シェーグレン症候群は主に尿細管間質性腎炎をきたし,遠位尿細管性アシドーシスを発症すると,低カリウム血症や高カルシウム尿症を合併する.
③関節リウマチに使用される,金製剤・D-ペニシラミン・ブシラミンによるネフローゼ症候群が知られている.薬剤中止により数カ月後以内に緩解することが多い.
④活動性が高くコントロール不良の関節リウマチ症例では,腎アミロイドーシス(AA 型)が合併することがある.関節リウマチそのものによる糸球体腎炎は,メサンギウム増殖性腎炎の形態をとるといわれている.
[骨髄腫関連腎障害]
①多発性骨髄腫の約30~40%に腎障害が出現する.
②その機序は単クローン性に増殖した軽鎖が,遠位尿細管や集合管内で,Tamm-Horsfall 蛋白と結合して凝集し円柱を形成した結果,尿細管の閉塞に至るcast nephropathy が多いが,その他,高カルシウム血症や,軽鎖沈着症(LCDD),アミロイドーシスなどの関与がしられている.
③腎予後はかなり厳しく,5~10%の患者で透析療法が必要.
④従来は,MP 療法(メルファラン+プレドニン)やデキサメタゾン大量療法が行われ,予後改善には至らなかったが,ボルテゾミブの出現でその予後が改善するとする報告が相次いでいる.
⑤ボルテゾミブは,肝代謝であり,透析患者でも通常量での治療が可能である.末梢神経障害の出現頻度が高く,わが国ではより出現頻度の低い週1 回皮下投与が主流となってきている.また,ヘルペス感染症を高率に引き起こすことから,バラシクロビルの併用がすすめられている.
[腎アミロイドーシス]
①糸球体にアミロイドが沈着すると,ネフローゼ症候群を呈することが多い.
②腎機能低下の割に腎サイズが保たれている場合が多い.
③治療法は確立されていないが,メルファラン・デキサメタゾン療法が効果的であることもある.若年者は自家末梢血幹細胞移植の適応を考慮する.
④高齢者のネフローゼ症候群を伴う腎機能低下には必ず鑑別に入れておかねばならない.
[ウイルス感染に伴う腎症]
①HBV による腎症は,HBV の持続感染に伴う免疫反応によって引き起こされ,小児では,膜性腎症,成人では,膜性増殖性糸球体腎炎・メサンギウム増殖性糸球体腎炎の形態をとる.
②成人では,HBs 抗原とHBe 抗原が関与するとされる.HCV による腎症は,クリオグロブリン血症を伴うものが多く,膜性増殖性腎炎を起こす.
③クリオグロブリン血症を伴うものは,紫斑や関節痛などの血管炎症状や低補体血症が出現することが多い.
④HIV による腎症は,ネフローゼ症候群を・腎機能障害も起こす.腎組織では,巣状糸球体硬化症を呈する.
⑤ヒトパルボウイルスB19 による微小変化型ネフローゼ症候群は比較的しられている.
[紫斑病性腎炎]
①アレルギー性紫斑病(HSP)にともなう腎炎(HSP発症後1 カ月以内がほとんど)であり,小児期腎疾患の15%をしめる.
②小児発症例は一過性の血尿・蛋白尿のみで自然寛解する例も多いが,成人発症例は比較的まれであるが,予後は不良であるといわれている.
③病理学的にはIgA 腎症と共通点が多い.