『弊社は検査機器・試薬メーカーでありまして、検査を受託することが出来ません。弊社プライマリケアサイトのスピード検索におきましては、
医歯薬出版株式会社からの許諾を受けて「臨床検査項目辞典」の情報を一部転載させていただいております。』
各検査項目がどのような目的で用いられているかを示します。
- IFNの測定は免疫機構の異常に起因する疾患において,サイトカインネットワークの解析,特に高サイトカイン血症(サイトカインストーム)を伴う病態解析などに用いられる.しかし疾患特異性が低いことから,研究目的を除けば,特殊な状況下で診断のために用いられる程度であり,臨床検査としての意義は限られる.
- 血球貪食症候群(血球貪食リンパ組織球症ともいう)が疑われる症例では,高サイトカイン血症の証明が診断根拠の一つとなるため,IFN-γが測定される.これに加えて,TNF-α,IL-1,IL-6,M-CSFの測定により,サイトカインネットワークの解析が行われるが,必ずしも診断に直結するものではなく,臨床的には,骨髄塗抹標本でのマクロファージの血球貪食像の観察,血清フェリチン著増,可溶性インターロイキン-2レセプター高値,LD高値,トリグリセリド高値,ウイルス感染やリンパ腫など基礎疾患の検索などが重要である.
- IFN治療施行中,IFNの血中動態の解析を目的としてIFNの血中濃度を測定する.IFNの効果を厳密に評価する場合には,血清中の2´,5´-オリゴアデニル酸合成酵素も測定する.これはIFNによって細胞内に誘導される抗ウイルス活性を有する酵素である.IFNを投与しているにもかかわらず,有意な血中濃度の上昇がみられない場合は,抗IFN抗体が産生されている可能性があるため,IFN中和抗体価を測定する.
- 上記のほか,ウイルス感染症や自己免疫疾患などの炎症性疾患において,サイトカインの見地から病態を詳細に解析したいときに検査する.ウイルス感染では急性期に血中濃度が上昇し,回復期に低下する.
- 近年,再生不良性貧血の発症機序の一つとして骨髄のリンパ球のIFN-γ産生が提唱されている.IFN-γが造血前駆細胞にFasを発現させ,アポトーシスを誘導するというものである.ただし,IFN-γ産生は骨髄リンパ球を用いたRT-PCRでは検出できるが,血中の濃度測定では検出できない.
- IFN-αは治療薬として,慢性骨髄性白血病,腎癌,B型およびC型慢性肝炎などに,IFN-βは悪性黒色腫,膠芽種などに,IFN-γは腎癌,菌状息肉症などに用いられている.