嘔気嘔吐
nausea, vomiting
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「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。
「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.
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Clinical Chart
診断と治療の一般原則
「どのタイミングで嘔吐したか」は重要な情報である.食事摂取後すぐであれば,食道・胃・十二指腸などの上部消化管での閉塞機転が考えられる.胆嚢炎や膵炎の嘔気嘔吐は発症早期1 時間以内に現れることが多い.食道炎や消化性潰瘍では食事摂取でむしろ症状が和らぐ.妊娠悪阻や尿毒症に伴う嘔気は朝方に起きることが多い.
また,嘔吐物の内容も原因を示唆することが多い.ほとんど消化されていないような食事であれば,食道疾患の可能性がある.部分的にでも食事が消化されていれば,胃疾患を考慮する.胆汁が混入した吐物では,原因は十二指腸水平脚より肛門側である.
嘔気嘔吐以外の徴候も診断に非常に重要である.消化性潰瘍,イレウス,胆嚢炎や膵炎では,腹痛を伴う.感染性腸炎や非特異的な胃腸炎では,下痢を伴うことも多い.頭蓋内疾患に伴う嘔吐では,頭痛のほかに神経脱落徴候(neurological defecit)を伴うこともあり,嘔気を感じず突然,噴出するように(projectile),嘔吐するのが特徴とされる.
実際に患者が嘔吐している場合は,まずバイタルを測定し,吐物が気道に混入しないようにやや頭高位の左側臥位をとらせる.バイタルに変化がある場合は,背景に重篤な疾患(絞扼性イレウスや心血管系疾患)が潜んでいる可能性があるので,work up を急ぐとともに大径の留置針でルートを確保し外液を投与する.
また,嘔吐物の内容も原因を示唆することが多い.ほとんど消化されていないような食事であれば,食道疾患の可能性がある.部分的にでも食事が消化されていれば,胃疾患を考慮する.胆汁が混入した吐物では,原因は十二指腸水平脚より肛門側である.
嘔気嘔吐以外の徴候も診断に非常に重要である.消化性潰瘍,イレウス,胆嚢炎や膵炎では,腹痛を伴う.感染性腸炎や非特異的な胃腸炎では,下痢を伴うことも多い.頭蓋内疾患に伴う嘔吐では,頭痛のほかに神経脱落徴候(neurological defecit)を伴うこともあり,嘔気を感じず突然,噴出するように(projectile),嘔吐するのが特徴とされる.
実際に患者が嘔吐している場合は,まずバイタルを測定し,吐物が気道に混入しないようにやや頭高位の左側臥位をとらせる.バイタルに変化がある場合は,背景に重篤な疾患(絞扼性イレウスや心血管系疾患)が潜んでいる可能性があるので,work up を急ぐとともに大径の留置針でルートを確保し外液を投与する.