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可溶性ICAM-1

可溶性ICAM-1

略称 sICAM-1
別名 可溶性CD54,細胞間接着分子-1

臨床的意義

  • ICAM-1の発現は,炎症性サイトカインや活性酸素などの刺激によって,数時間以内に内皮細胞や線維芽細胞上で著明に増強し,循環血中や組織内の炎症性細胞との接着や活性化に関与する.したがって,自己免疫,感染,腫瘍浸潤,移植拒絶,アレルギー,動脈硬化などを契機にもたらされる炎症性病態の形成に深く関与する.
  • 循環血中や組織液中に検出される可溶性ICAM-1は,主にリンパ球や単球を含む白血球や内皮細胞,一部の癌細胞表面に発現したものが遊離したもので,細胞外成分の大部分を有する.したがって,循環血中や組織液中の可溶性ICAM-1を測定することによって,白血球や内皮細胞,癌細胞などのICAM-1を発現する細胞数の増加や,それらの細胞上のICAM-1の発現量の増加を推測でき,経過を追うことによって,炎症性病態の疾患活動性や程度,癌細胞の増殖の強さなどを推察できる.
  • なお,可溶性ICAM-1は白血球上のLFA-1と結合してLFA-1/ICAM-1を介する白血球と内皮細胞などとの結合を競合的に阻害することにより,生体自身が本来有する抗炎症性作用として機能するものと考えられている.
  • 本検査は,上記のさまざまな炎症性疾患の活動性や一部の癌の発育程度,さらには治療効果を知りたいときに応用できる.
  • また,CRP,赤沈,白血球数などの一般的な炎症マーカーや腫瘍マーカーで十分な情報が得られない際に代用できる可能性がある.
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基準値・異常値

基準範囲
82.5~276ng/ml
変動要因
高値

B細胞性白血病、  サルコイドーシス、  移植片拒絶反応、  肝胆道系癌、  関節リウマチ、  気管支喘息などのアレルギー性疾患、  血管炎症候群、  重症感染症、  消化器(特に大腸)癌、  腎癌、  成人T細胞白血病、  成人呼吸促迫症候群(ARDS)、  川崎病、  全身性エリテマトーデス、  全身性炎症反応症候群(SIRS)、  動脈硬化症、  乳癌、  卵巣癌、  膵癌

次に必要な検査
本検査は,基本的には炎症性疾患や一部の癌の活動性の指標と考えられる.よって,経過を追って病態の進行の程度や治療の効果をみることが主目的である.また,一般的な炎症マーカー,腫瘍マーカー,他の可溶性接着分子などと比較検討することが肝要である.
変動要因
マウス抗体を用いるEIAであるので,抗体療法を受けて生体内に抗マウス抗体を有する患者では,異常高値または低値を呈する.
( 田中良哉 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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